第44話 悪霊
文字数 4,249文字
デルリアルが用意していた新アジトには、すでに肉体培養の設備も施されてあり、回収したエリカの肉体の破片は、問題なくそこに収容出来た。
だが、問題もある。
一つは、この場所が勇者に知れてしまっている事、というより助けてもらった手前、一緒に連れて来た。
もう一つは、回収した破片の分量が少なく、当初のスケジュールでは肉体再生と魔王復活が難しくなった事だ。
「それで勇者よ。
本当に魔王様の肉体が復活するまで、待ってくれるというのか?」
「ああ。さっきも言った様に、今、エリカが使っている人間の肉体には、元の持ち主の魂もくっついていてな。俺達はなんとかその子を元に戻してやりたい。
だがその算段が付く前にエリカに抜けられると、その子の成仏が確定しちまう。
だから極力エリカの復活を遅らせてその対策に時間をかけたい。
まあ、エリカが復活した時は、ここでやっつければいいだけだしな」
「…………だが、その人間は賢者の石は使わんと言ったのだろう?
それでは、わしでもどうにも出来んぞ。
しかも、お前達はエリカ様がその肉体にいる時間が長い方が良いと考えておる様じゃが、それもどうなのかな?」
「どうかとは?」イラストリアが問う。
「うむ。事例も少なくてわしも断定は出来ないのだが、尾が切れた魂が、その……ひとっ所に張り付いていて大丈夫なのか? 地縛霊もそうじゃが、ああいうのは時間がたつにつれ、だんだん周りの空間と一体化して元の自我がおかしくなり、悪霊化するものも多い。そのナナという娘の魂は大丈夫なのだろうか」
「!!」タイガとイラストリアは息を呑んだ。
「ち、ちょっと。デルリアル。それって本当?
それに悪霊化って、どうなっちゃうの?」
イラストリアが動揺しながら問いただす。
「だから、わしも憶測でしか言えん。まあ、従来の地縛霊の例だと、多分、自分が何者かよくわからなくなり、生前の妄念に囚われるといったところか」
「そんな……それじゃ、どうすればいいの?」
「どうにも出来ん。そうなる前に、成仏させるか、反魂の術を使うしかあるまい」
デルリアルの言葉に、タイガもイラストリアもお互いの顔を見合わせるしかなかった。
◇◇◇
プープー。授業中にスマホのバイブが作動した。
林陽介は、先生が黒板に何か書いている隙に、そっとスマホを覗いた。
不明な番号で留守電が入っていたので、こっそり再生してみる。
(えっ! チェリーさん?)
次の休み時間に、慌てて体育倉庫の裏に行って、発信元に電話をした。
「あの、もしもし。林陽介です。チェリーさん?」
「あー、よーくんだー。良かったー。
あなた、お店の会員登録にほんとの電話番号書いたんだー。かわいー」
あっ……ああいうのって、本当の番号は書かないものなのか?
「でも、チェリーさん。どうして俺に?」
「あー、あなたが振られた子ってさー。私の知り合いだったのよ。
それでなんか……運命感じちゃった! ねえ、今日今からどこかで会えない?」
冷静に考えれば、どうしてそんな事が分かるのか、不審点だらけだと思うのだが、陽介は当然、その時すでにテンパっていた。
「あ、はい! でも、お店に行くにはもうお金が……」
「あー、お店でなくていいから! 個人的にデートしよ!
できるだけ早くぅ。もう我慢出来ないよー」
「あー……分かりました! すぐに行きます!!」
こうなったら十代の健康な男子は止まらない。その後の授業をすっぽらかし、股間をギンギンにさせて、チュロスと約束した場所を目指した。
新横浜で待ち合わせをし、陽介がチュロスと会ったのはまだ午後三時前だった。
陽介はチュロスに手を引かれ、制服のまま、路地裏のラブホテルに入った。
「ごめんね、よーくん。もう我慢出来ない。
エネルギーが全然足りなくて……たっぷり補充させてね!」
そういいながら、チュロスはいきなり陽介を押し倒し、そしてそのまま三時間近く、陽介の精気をむさぼり吸った。
「よーくん。生きてる? まだ死んじゃだめよー。あなたにはまだ働いてもらわないといけないからぁ。でもぉ、私はお陰様で充電満タン!」
「はあ……」
陽介は、頭がぼーっとして自分が何者で今何処にいるかもはっきり分からないくらい疲れ切っていた。だが、さっきまでの快楽事が繰り返し脳内で反芻され、幸福感に満たされている。
「そんじゃ、よーくん。次いこうか? ナナちゃんの所、連れてって!」
◇◇◇
陽介とチュロスが七里ガ浜に着いたとき、時計は夜八時近かった。
今日はナナのシフトが入っているはずで、時間も九時前なので、まだ店にいるはずだ。朦朧としながら陽介はそんな事を考えつつ、チュロスをナナのファミレスに案内した。
店内にはいると、早速ナナを見かけた。
よかった、これでチェリーさんも喜ぶぞ。
陽介とチュロスは、窓際の座席に案内されそこに腰かけた。
「いらっしゃいませ。って、あれ? 林君、今日は彼女連れなんだ?」
オーダーを取りに来たナナがちょっと驚いている。
「あー。あなたがナナちゃん? こんばんわー。
私はねー、よーくんのセフレなんだよー。
さっきまでホテルで、さんざんエッチしてたの!」
「……林君。何か私への当てつけかな?」ナナがちょっとムッとしている。
「えっ、いや、そんなつもりじゃ……二人は知り合いじゃないの?」
陽介が困惑した顔を見せた。
(ナナ、替われ!)
そう言ってエリカが表に出て、チュロスの首根っこを掴んで耳元でささやいた。
「おい、お前! なんでこんなに大ぴらに会いに来た? あぶねーって言っただろうが! それに、また懲りずにこいつの精気吸ってんのかよ! あーあ。まったく……これじゃ、こいつ歩くのやっとだろうが!」
「へへー。エリカ様―。それじゃ、お話はお店上がったらしましょうかね……。
あー私は、コーヒーとショートケーキのセットでいいです!
あと、このボウやにもおんなじのね」
(ちっ、ったく。しょうがねえな。酔っぱらってんのかよ)
(ねえ、エリカ。今の人は……)
(ああ、あれがチュロス。サキュバスのチュロス!
陽介の精気吸いすぎてラリってやがる)
(精気の吸い過ぎって……エリカのエッチ!)
(いや、あたいのせいじゃねーし)
◇◇◇
夜九時でシフトを上がったナナは、表をエリカに替わって店を出た。店の前の国道を渡った海辺の浜で待っているとチュロスは言っていたので、そこへ向かう。
あー、いたいた。って、なんだぁ? また乳繰り合ってんのかよ。
……勘弁しろよな。
海岸の月明りの下で、チュロスと陽介が、口を吸い合いながら、お互いに愛撫し合っている。こんな光景、ナナに見せられんな。
「おーい。いい加減にしろよな。陽介、ほんとに死んじまうぞ!」
そうエリカが言ったとたん、突然、周りの空間が真っ白になった。
身体も自由が利かない。くそ、これは一体……。
(エリカ。どうしたの?)
(ナナ、出てくるな! 何かの魔法攻撃だ。
チュロスが尾行されたのかも知れん!)
(……じゃ、戦闘準備頑張る!)
エリカを包む真っ白な光がだんだん強くなり、それに伴い、着ているものがどんどん透けてきて、最終的に、一糸まとわぬ素っ裸になった。そして、手の甲や足の甲が次第にむずがゆくなってきて、それがだんだん全身にひろがっていく。
「いや、これはくすぐったい……たまらん……あん!」
そのムズムズが突然快感に変化した。
「ひゃっ、うほっ、よせってこら! あんあん、くふぅ……。
ちくしょ、これ夢魔の淫夢だよな。
てことは、チュロス! お前か! ふざけるなよ……ひゃーんっ!」
だめだ、油断した。
一度捉えられてしまうと、こりゃそうそう抜け出せるものではない。
(うわー、やべー。マジでイっちゃう! ふん、ふん、くふーん! ああーん!)
(ちょっと、エリカ! 何よこの快感!! あーダメ、私も我慢出来ないよー)
「ふははははーー。
さすがのエリカ様でも、私の淫夢ではイッちゃうしかないですよねー。
ああ、なんという幸せ。私があのエリカ様を絶頂に導いて差し上げられるなんて……もう、心臓が止まるまで絶頂を味合わせて差し上げますわ!
ああ、もうダメ。私もイッちゃいそう……。
そーだ、よーくん!
よーくん、ナナちゃん好きだったんだよねー。
いいよ、このままヤっちゃって。
どうせもう本人、さっきからイキっぱなしだしさー」
「チェリーさん……いったい何を」
陽介は今自分の目の前で起きている事が理解出来ない。
ナナが突然浜辺に転がって、喘ぎ越えを上げながら悶え始めたのだ。
でも、なんか頭がぼーっとしてて何も考えられない。
チェリーさんがいいというなら、俺はナナさんともエッチしたい……。
陽介は、その場でズボンとパンツを降ろし、転がっているナナの側に近寄った。
そして、そのままスカートに手をいれ、ナナのショーツを一気に降ろした。
「ああ、ナナさん……」陽介は自分のモノをナナに押し当てようとした。
「うわー、ダメだ陽介! しっかりしろー!!」エリカが絶叫した。
バーーン!!
凄い音がして、突然、エリカの眼の前から陽介が消えた。
いや、消えたのではなく、吹っ飛ばされたのだ。
数mほど先に陽介が転がっていた。
「何?」
チュロスが後ろを振り向いたとたん、彼女も思い切り吹き飛ばされ、そのショックでチュロスの術が途切れた。
「よっしゃ!!」エリカがすかさず体制を立て直す。
「うっはー、やばかったぜ。
まあ、あいつの先っぽ、ちょっとアソコに触れちゃったけど、ゴメンなナナ!」
(エリカの馬鹿!)
エリカが顔を上げると、目の前にフューリアがいた。
やはりいつも何処からかエリカを監視しているのだろう。
「まったく最近の高校生は……何、浜辺で淫行してるかなー」
「いやー。フューリア助かったぜ。お前、攻撃魔法も使えたのな」
「まあ、威力は大した事ないけどね。マナカプセルもいくつか貰って来てるし……あとで補充してよね」
「ああ、了解だ。で、チュロス、こりゃ、一体どういう事かな?」
「あーあ、エリカ様。あのまま快楽死した方が楽でしたのに。
私、貴方を抹殺するために戻って参りました。ここからが本番ですのよ」
そう言いながら、チュロスは半場意識のない陽介を盾にしている。
「何言ってんだ! お前どうしちまったんだ? デルリアルと何かあったのか?」
「何かって……私、今、ナナちゃんと同じなんです」
「ナナと同じ?」
「そう。もう、死んじゃっているんです!」
だが、問題もある。
一つは、この場所が勇者に知れてしまっている事、というより助けてもらった手前、一緒に連れて来た。
もう一つは、回収した破片の分量が少なく、当初のスケジュールでは肉体再生と魔王復活が難しくなった事だ。
「それで勇者よ。
本当に魔王様の肉体が復活するまで、待ってくれるというのか?」
「ああ。さっきも言った様に、今、エリカが使っている人間の肉体には、元の持ち主の魂もくっついていてな。俺達はなんとかその子を元に戻してやりたい。
だがその算段が付く前にエリカに抜けられると、その子の成仏が確定しちまう。
だから極力エリカの復活を遅らせてその対策に時間をかけたい。
まあ、エリカが復活した時は、ここでやっつければいいだけだしな」
「…………だが、その人間は賢者の石は使わんと言ったのだろう?
それでは、わしでもどうにも出来んぞ。
しかも、お前達はエリカ様がその肉体にいる時間が長い方が良いと考えておる様じゃが、それもどうなのかな?」
「どうかとは?」イラストリアが問う。
「うむ。事例も少なくてわしも断定は出来ないのだが、尾が切れた魂が、その……ひとっ所に張り付いていて大丈夫なのか? 地縛霊もそうじゃが、ああいうのは時間がたつにつれ、だんだん周りの空間と一体化して元の自我がおかしくなり、悪霊化するものも多い。そのナナという娘の魂は大丈夫なのだろうか」
「!!」タイガとイラストリアは息を呑んだ。
「ち、ちょっと。デルリアル。それって本当?
それに悪霊化って、どうなっちゃうの?」
イラストリアが動揺しながら問いただす。
「だから、わしも憶測でしか言えん。まあ、従来の地縛霊の例だと、多分、自分が何者かよくわからなくなり、生前の妄念に囚われるといったところか」
「そんな……それじゃ、どうすればいいの?」
「どうにも出来ん。そうなる前に、成仏させるか、反魂の術を使うしかあるまい」
デルリアルの言葉に、タイガもイラストリアもお互いの顔を見合わせるしかなかった。
◇◇◇
プープー。授業中にスマホのバイブが作動した。
林陽介は、先生が黒板に何か書いている隙に、そっとスマホを覗いた。
不明な番号で留守電が入っていたので、こっそり再生してみる。
(えっ! チェリーさん?)
次の休み時間に、慌てて体育倉庫の裏に行って、発信元に電話をした。
「あの、もしもし。林陽介です。チェリーさん?」
「あー、よーくんだー。良かったー。
あなた、お店の会員登録にほんとの電話番号書いたんだー。かわいー」
あっ……ああいうのって、本当の番号は書かないものなのか?
「でも、チェリーさん。どうして俺に?」
「あー、あなたが振られた子ってさー。私の知り合いだったのよ。
それでなんか……運命感じちゃった! ねえ、今日今からどこかで会えない?」
冷静に考えれば、どうしてそんな事が分かるのか、不審点だらけだと思うのだが、陽介は当然、その時すでにテンパっていた。
「あ、はい! でも、お店に行くにはもうお金が……」
「あー、お店でなくていいから! 個人的にデートしよ!
できるだけ早くぅ。もう我慢出来ないよー」
「あー……分かりました! すぐに行きます!!」
こうなったら十代の健康な男子は止まらない。その後の授業をすっぽらかし、股間をギンギンにさせて、チュロスと約束した場所を目指した。
新横浜で待ち合わせをし、陽介がチュロスと会ったのはまだ午後三時前だった。
陽介はチュロスに手を引かれ、制服のまま、路地裏のラブホテルに入った。
「ごめんね、よーくん。もう我慢出来ない。
エネルギーが全然足りなくて……たっぷり補充させてね!」
そういいながら、チュロスはいきなり陽介を押し倒し、そしてそのまま三時間近く、陽介の精気をむさぼり吸った。
「よーくん。生きてる? まだ死んじゃだめよー。あなたにはまだ働いてもらわないといけないからぁ。でもぉ、私はお陰様で充電満タン!」
「はあ……」
陽介は、頭がぼーっとして自分が何者で今何処にいるかもはっきり分からないくらい疲れ切っていた。だが、さっきまでの快楽事が繰り返し脳内で反芻され、幸福感に満たされている。
「そんじゃ、よーくん。次いこうか? ナナちゃんの所、連れてって!」
◇◇◇
陽介とチュロスが七里ガ浜に着いたとき、時計は夜八時近かった。
今日はナナのシフトが入っているはずで、時間も九時前なので、まだ店にいるはずだ。朦朧としながら陽介はそんな事を考えつつ、チュロスをナナのファミレスに案内した。
店内にはいると、早速ナナを見かけた。
よかった、これでチェリーさんも喜ぶぞ。
陽介とチュロスは、窓際の座席に案内されそこに腰かけた。
「いらっしゃいませ。って、あれ? 林君、今日は彼女連れなんだ?」
オーダーを取りに来たナナがちょっと驚いている。
「あー。あなたがナナちゃん? こんばんわー。
私はねー、よーくんのセフレなんだよー。
さっきまでホテルで、さんざんエッチしてたの!」
「……林君。何か私への当てつけかな?」ナナがちょっとムッとしている。
「えっ、いや、そんなつもりじゃ……二人は知り合いじゃないの?」
陽介が困惑した顔を見せた。
(ナナ、替われ!)
そう言ってエリカが表に出て、チュロスの首根っこを掴んで耳元でささやいた。
「おい、お前! なんでこんなに大ぴらに会いに来た? あぶねーって言っただろうが! それに、また懲りずにこいつの精気吸ってんのかよ! あーあ。まったく……これじゃ、こいつ歩くのやっとだろうが!」
「へへー。エリカ様―。それじゃ、お話はお店上がったらしましょうかね……。
あー私は、コーヒーとショートケーキのセットでいいです!
あと、このボウやにもおんなじのね」
(ちっ、ったく。しょうがねえな。酔っぱらってんのかよ)
(ねえ、エリカ。今の人は……)
(ああ、あれがチュロス。サキュバスのチュロス!
陽介の精気吸いすぎてラリってやがる)
(精気の吸い過ぎって……エリカのエッチ!)
(いや、あたいのせいじゃねーし)
◇◇◇
夜九時でシフトを上がったナナは、表をエリカに替わって店を出た。店の前の国道を渡った海辺の浜で待っているとチュロスは言っていたので、そこへ向かう。
あー、いたいた。って、なんだぁ? また乳繰り合ってんのかよ。
……勘弁しろよな。
海岸の月明りの下で、チュロスと陽介が、口を吸い合いながら、お互いに愛撫し合っている。こんな光景、ナナに見せられんな。
「おーい。いい加減にしろよな。陽介、ほんとに死んじまうぞ!」
そうエリカが言ったとたん、突然、周りの空間が真っ白になった。
身体も自由が利かない。くそ、これは一体……。
(エリカ。どうしたの?)
(ナナ、出てくるな! 何かの魔法攻撃だ。
チュロスが尾行されたのかも知れん!)
(……じゃ、戦闘準備頑張る!)
エリカを包む真っ白な光がだんだん強くなり、それに伴い、着ているものがどんどん透けてきて、最終的に、一糸まとわぬ素っ裸になった。そして、手の甲や足の甲が次第にむずがゆくなってきて、それがだんだん全身にひろがっていく。
「いや、これはくすぐったい……たまらん……あん!」
そのムズムズが突然快感に変化した。
「ひゃっ、うほっ、よせってこら! あんあん、くふぅ……。
ちくしょ、これ夢魔の淫夢だよな。
てことは、チュロス! お前か! ふざけるなよ……ひゃーんっ!」
だめだ、油断した。
一度捉えられてしまうと、こりゃそうそう抜け出せるものではない。
(うわー、やべー。マジでイっちゃう! ふん、ふん、くふーん! ああーん!)
(ちょっと、エリカ! 何よこの快感!! あーダメ、私も我慢出来ないよー)
「ふははははーー。
さすがのエリカ様でも、私の淫夢ではイッちゃうしかないですよねー。
ああ、なんという幸せ。私があのエリカ様を絶頂に導いて差し上げられるなんて……もう、心臓が止まるまで絶頂を味合わせて差し上げますわ!
ああ、もうダメ。私もイッちゃいそう……。
そーだ、よーくん!
よーくん、ナナちゃん好きだったんだよねー。
いいよ、このままヤっちゃって。
どうせもう本人、さっきからイキっぱなしだしさー」
「チェリーさん……いったい何を」
陽介は今自分の目の前で起きている事が理解出来ない。
ナナが突然浜辺に転がって、喘ぎ越えを上げながら悶え始めたのだ。
でも、なんか頭がぼーっとしてて何も考えられない。
チェリーさんがいいというなら、俺はナナさんともエッチしたい……。
陽介は、その場でズボンとパンツを降ろし、転がっているナナの側に近寄った。
そして、そのままスカートに手をいれ、ナナのショーツを一気に降ろした。
「ああ、ナナさん……」陽介は自分のモノをナナに押し当てようとした。
「うわー、ダメだ陽介! しっかりしろー!!」エリカが絶叫した。
バーーン!!
凄い音がして、突然、エリカの眼の前から陽介が消えた。
いや、消えたのではなく、吹っ飛ばされたのだ。
数mほど先に陽介が転がっていた。
「何?」
チュロスが後ろを振り向いたとたん、彼女も思い切り吹き飛ばされ、そのショックでチュロスの術が途切れた。
「よっしゃ!!」エリカがすかさず体制を立て直す。
「うっはー、やばかったぜ。
まあ、あいつの先っぽ、ちょっとアソコに触れちゃったけど、ゴメンなナナ!」
(エリカの馬鹿!)
エリカが顔を上げると、目の前にフューリアがいた。
やはりいつも何処からかエリカを監視しているのだろう。
「まったく最近の高校生は……何、浜辺で淫行してるかなー」
「いやー。フューリア助かったぜ。お前、攻撃魔法も使えたのな」
「まあ、威力は大した事ないけどね。マナカプセルもいくつか貰って来てるし……あとで補充してよね」
「ああ、了解だ。で、チュロス、こりゃ、一体どういう事かな?」
「あーあ、エリカ様。あのまま快楽死した方が楽でしたのに。
私、貴方を抹殺するために戻って参りました。ここからが本番ですのよ」
そう言いながら、チュロスは半場意識のない陽介を盾にしている。
「何言ってんだ! お前どうしちまったんだ? デルリアルと何かあったのか?」
「何かって……私、今、ナナちゃんと同じなんです」
「ナナと同じ?」
「そう。もう、死んじゃっているんです!」