14 部長は部下に気にされている
文字数 926文字
緒川は働いていた。
緒川はテキパキと働いていた。
ただ一つのミスも無く、淀みなく思考し絶え間なく動き、午前中のうちにその日の目標量を終えてしまったので明日のタスクで手が付けられる作業に取り掛かり先程終えた。
「緒川、なんか今日調子いいよな!」
伏島が声をかけてくる。
「いえ、いつも通りですよ。」
と緒川は答え、こう続けた。心の中で…。
勿論全然いつも通りじゃないですよ!
今日は普通に仕事をしてるだけです。
部長がいらっしゃらないのでミスする必要がないだけです。
僕は常日頃から、どんなミスをしたらいいか、どうしたら出来るだけ長々とネチネチと叱ってもらえるかを考えながら仕事してるんですよ。僕、毎日忙しいんです、真剣なんですよ。
だってミスをするには失敗は許されないんですよ!
自然な振舞いや表情、それから、これが一番大事なんですけど、加減!あんまりミスを連発し過ぎて会社人として破綻してしまったら部署を飛ばされたりクビになったりするかもしれないでしょ!もしそうなったら僕は死ぬ!
と叫んでいた。くどいようだが心の中で。
緒川が我に返ると伏島たちは昼休みに出たのかもうそこに居なかった。
…彼は解せなかった。
――あの部長が会社を休んだのになんで皆さんそんな普通でいられるんですか?
例えば目が覚めて、
でも待てど暮らせど太陽が昇らない、
ずっと真っ暗闇のまま!
そんな日が来たとしましょう。
それでも皆さん普通にランチいけるんですか?同じことでしょ!
オイどうしたJ-pop!!明けない夜はないんじゃないのか!ってなるでしょ!!
もういいですよ、もういいですから。
今後どんなに誘われても絶対呑みに行きませんから。
緒川は内心憤慨して立ち上がった。
や、立ち上がろうとした時、背後から声をかけられた。
「緒川くん!」振り返ると永井玲奈だった。
「一緒にお昼いかない?」
「あ、僕、コンビニで」と緒川はやんわり断ろうとしたが、
「そんなんばっかじゃ体壊しちゃうよ、よしじゃぁお姉さんがおごってあげよう!」と永井はこぶしで胸を叩く。
「や、でも電話番いないと…、」
「30分だけ隣がとってくれるって。」
「えぁ、はい、じゃぁ。」
永井のほうはもう支度と整えてある。上着は要るだろうか、少し迷ったがそのまま出ることにした。
緒川はテキパキと働いていた。
ただ一つのミスも無く、淀みなく思考し絶え間なく動き、午前中のうちにその日の目標量を終えてしまったので明日のタスクで手が付けられる作業に取り掛かり先程終えた。
「緒川、なんか今日調子いいよな!」
伏島が声をかけてくる。
「いえ、いつも通りですよ。」
と緒川は答え、こう続けた。心の中で…。
勿論全然いつも通りじゃないですよ!
今日は普通に仕事をしてるだけです。
部長がいらっしゃらないのでミスする必要がないだけです。
僕は常日頃から、どんなミスをしたらいいか、どうしたら出来るだけ長々とネチネチと叱ってもらえるかを考えながら仕事してるんですよ。僕、毎日忙しいんです、真剣なんですよ。
だってミスをするには失敗は許されないんですよ!
自然な振舞いや表情、それから、これが一番大事なんですけど、加減!あんまりミスを連発し過ぎて会社人として破綻してしまったら部署を飛ばされたりクビになったりするかもしれないでしょ!もしそうなったら僕は死ぬ!
と叫んでいた。くどいようだが心の中で。
緒川が我に返ると伏島たちは昼休みに出たのかもうそこに居なかった。
…彼は解せなかった。
――あの部長が会社を休んだのになんで皆さんそんな普通でいられるんですか?
例えば目が覚めて、
でも待てど暮らせど太陽が昇らない、
ずっと真っ暗闇のまま!
そんな日が来たとしましょう。
それでも皆さん普通にランチいけるんですか?同じことでしょ!
オイどうしたJ-pop!!明けない夜はないんじゃないのか!ってなるでしょ!!
もういいですよ、もういいですから。
今後どんなに誘われても絶対呑みに行きませんから。
緒川は内心憤慨して立ち上がった。
や、立ち上がろうとした時、背後から声をかけられた。
「緒川くん!」振り返ると永井玲奈だった。
「一緒にお昼いかない?」
「あ、僕、コンビニで」と緒川はやんわり断ろうとしたが、
「そんなんばっかじゃ体壊しちゃうよ、よしじゃぁお姉さんがおごってあげよう!」と永井はこぶしで胸を叩く。
「や、でも電話番いないと…、」
「30分だけ隣がとってくれるって。」
「えぁ、はい、じゃぁ。」
永井のほうはもう支度と整えてある。上着は要るだろうか、少し迷ったがそのまま出ることにした。