海の家1【待ち人は来ず】今村広樹

文字数 350文字

【待ち人は来ず】今村広樹

yonoco

私が彼女と出会ったのは、今日のような暑い日、小さな海の家でのことだった。

正直流行ってないそこに1人たたずんでいた妙齢の女性に、思わず話しかけた。

yonoco

あの、どうかしましたか?

yonoco

あ、すいません、人を待っているのです

yonoco

と、彼女は写真を私に見せた。

その写真には、私がつい先日見たことのある高校生くらいの少年が写っていた。

yonoco

やあ、どうしたんですか?


yonoco

何か事故があった現場に居合わせた私は、近くにいた顔見知りの警官に訊いた。

yonoco

ああ、あんたか。

なんか、ネコを助けようとして、トラックに引かれて即死だと。

みてみろと、顔以外はぐちゃぐちゃになってるよ

yonoco

そうだ、彼女の写真に写ってる少年の顔は、あの時見た顔だ。

yonoco

まだ来ませんね

yonoco

儚げに笑いながら言う彼女に、私はこう返した。

yonoco

ええ、でもいつか必ず来ますよ、必ずね

yonoco

おしまい

yonoco

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