第7話
文字数 1,382文字
欲望のザ・ゲーム第7話
文字数 1,360文字
ザ・ゲーム(1979年作品)第7回 久賀島にある戦争ゲーム用のアンドロイドとそれを自由に扱う南条則夫の超能力は、東西冷戦下のアメリカ・ソビエトの注目を集めていた。
「見てごらん」
俺は背後を振り返った。ガキが指をならし
た。一勢に死体が立ちあがった。ある者は片
腕がちぎれ、ある者は首が吹き飛んでいる。
が立ち上がってこちらへ歩き始めている。
俺はトリ(ダが立った。思わず失禁してし
まった。
奴らの体から俺の射った弾丸がポロポロと
落ちている。体の中から外へはじき出されて
いるのだ。
「うわっ、こいつらは」
「驚く事はない。言っただろう。これは戦争
ゲームなんだって、あいつらはみんなゲーム用のアンドロイドさ。
僕の意志で動いている」
彼らは則夫の前に整列した。ガキが手をI
振りすると、50名の男達は一瞬かき消えた。
「ほら見てごらんよ」 則夫のカバンの中へ
男達が縮少化されて入っていた。まるでミニ
チュアモデルのように。
「こ、これは」俺はもう腰が抜けかけている。
「斟夥の軍隊さ。他にも僕は今、軍艦や潜水 一
艦を作っている。それに」則夫は再び手をふ
った。
「あそこを見てごらん」 俺は自分自身の眼
を疑った。何もなかった所にM103戦車が15台
出現じていた。小さな国の軍隊よりすごい。
「これも僕の手駒なんだ。でも使うところが
ないのさ。人一人相手に戦車を何台も使った
っておもしろくないしね。オジジが使わさし
てくれないんだ」則夫は欲求不満のようだ。
「俺はどうなるんだ」
「これを見た以上死んでもらわなきゃね。ど
んな方法がお好みかな」
「わっ、待ってくれ」
「みっともないね。さっきの戦闘ではそんな
事はなかったのに」
『先刻と、今では違う。お前みたいな怪物あ
いてではどうしょうもない』
「しかたがない。苦しまずに即死させてあげ
るよ」則夫はゆっくりと手を上げた。
が一瞬。その手が止まる。表情が厳しくな
っていた。
″
「そうか。話を変えよう。僕に雇われないかい」俺は
命拾いしたようだ。
「どうしたんだ、一体」俺の声はふるえてい
る。
「オジジの南条剛造が危いのさ」
■アメリカの偵察衛星、ビッグバードが、久
賀島の上空に停止していた。映像はUSA国防省の
一室のスクリーンに映し出されている。
「ほしいな。この子供。武器としてな」ある将軍が言った。
「そうです。今までは、兵隊だけでしたが、
戦車も出現させるなんて」大尉が同意する。
「彼が白熊の手にはいってみろ、軍事バラン
スがくずれてしまうぞ」
「同感です」
「彼は南条財閥の南条剛造の孫だったな」
「そうです」
「わかった。その筋から何とか手を打ってみ
ろ」
「わかりました」
■ 同刻、ソ連、モスクワ、クレムリン宮殿の一室。
(1979年の東西冷戦時の話です)
「偵察衛星ヤーチヤイカの映像通りである事が、
原子力潜水艦ウラジミール号の連絡で確認さ
れました。VTR映像が入手できましたので映し
ます」
KGB情報将校が円卓を囲む政治局員
の前で言った。映像が映し出された。
「恐るべき子供だ」
「同感です」
「超能力者ですね」
「もし、この子がアンクルサムの手に渡っ
「もし、この子がアンクルーサムの手に渡っ
てみろ、どうなる、ユーリノフ政治局員」
ザ・ゲーム(1979年作品)第7回