第10話

文字数 1,677文字


欲望のザ・ゲームザ・ゲーム(1979年作品)第9回 南条則夫の能力をめぐる戦いが日本の久我島で行われる。日本政府は世界のマスコミ対処に苦慮した。

ザ・ゲーム(1979年作品)第9回 

作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所

http://www.yamada-kikaku.com/



南条財閥のおさである南条剛造は久賀島の孫。南条則夫に電話をかけていた。



 「…というわけだ。お前、どちらを選ぶね」



 「オジジ、七れはおもしろいな。でもどちら

に行っても片方が納得しないだろう。一方に

いけば一方が必ずオジイを暗殺するだろう」



 「お前までわしを驚かすつもりか」



 「だって本当だもの」則夫は少し考えていた。



 「よし、’わかった。両国にこう提案してよ。



久賀島の外から侵入し

島の中央、僕のいる拝所うがんじよまで

辿り着けた国の方へ行くってね。



ただし両軍共人数は50名だよ。僕の黄泉の軍隊はいっさ

い守備しない。



二国だけで争ってほしいんだ。

賞品は僕ってわけだよ。それに伴う権力とね。

むろん、おじいから、日本の自衛隊や政府には話をつけておいてね。」



 「本当にそう伝えていいんだね、則夫」



 「もちろんさ。でもオジジも気をつけてね」

 「わかっているさ」



 則夫には剛造の背後に忍びよる夜の影に気

づいていたのだ。



「大変だ、さっそく、本国へ連絡だ」



 ■両国の関連部署は各国軍隊の精鋭を選抜にかかっ

ている。

 かくて。歴史上であの有名な「久賀島の戦い」の冪が切

って落された。



日本政府の公式発表では、日本政府との友好的な国際的な

軍事演習が行われていたことになっている。両国のエリート部隊が、

空母が終結するここになった。



むろん、日本及び世界のマスコミは、取材を拒否だ。



アメリカ他の映画会社数社と、通信社もこれ

を聞きつけ、映像取材を申し込んだが、婉曲に断

わEれた、というよりも脅かされた。







 カラシニコフAKMライフルを手にしたレ

イドピギ(ソ連邦特殊攻撃部隊)がミル=ヘ

リコプターで空母キエフから久賀島へヽ飛来し

てきた。西浜に集合する。



 コルト=コマソドウライフルを手にしたア

メリカ、グリーンベレーが島の東浜に上陸し

た。島のまわりにはソ連太平洋艦隊と、アメ

リカ第7艦隊がにらみあっている。



 全世界の観戦武官がこの戦いの成り行きに

興味を持っていた。



 偵察衛星はもちろん、島の上空に固定され

ている。



 電話はもちろん、両国の情報部によって盗

聴されていた。





 偵察衛星の映像は特別の計いで南条剛造の

家にも届いていた。南条剛造は手に汗して映

像を見つめている。



 南条洋子が日本のY市にある七の部屋に入ってきてお茶を置いた。



南条剛造は画面に気をとられ、洋子の七の時の表

情には気づいていなかった。お茶を一気に飲

み込んだ。突然、剛造は苦悶の表情となる。



 「うっ、お前、お茶の中に。お前はどちらの

まわし者だ」洋子の方へふるえる手を延しな

がら、苦しい息の下で剛造が言った。



 「どちらでもありませんわ、お父さま」洋子

は冷たい眼ざしで見つめている。



南条は最期のあがきで、洋子につかみかかろうとしたが

倒れた。



南条洋子は南条が完全に死んだ事を確認

しヽそれから演技を始める・  

    

 「キャ’‘ツ、お義父さま」 

         

洋子は、さも義父が倒れた事に驚いたかの

よう剛造をだきおこした。家の召使も呼んだ。

しかし南米原産の

猛毒はすでに剛造の命を奪っていたのだ。



 ちょうどその時、島の中央にある拝所(う

がんじよ)が吹き飛ぶのが、モニターーテレ

ビに映った。



 南条洋子はそれを見て、にゃりと笑い独りごち

た。



 「これで、財産は総て」



 洋子は、執事・召使たちが部屋に飛び込んできた

ので、表情を変え、ソファに気絶したごとく

倒れた。ヽ



 米ソエリート部隊の戦闘を俺と南条則夫はモニ

ターで楽んでいた。



 「これからどうするつもりだ。則夫」



 「まあ、僕にまかせておきたまえ。僕はこの

局地戦を見ていてね、この久賀島での戦争ゲ

ームが子供の遊びだって事に気がついたんだ」

「ほう、偉いじ?ないか。それでどうするつもりだ」

ザ・ゲーム(1979年作品)第9回 
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俺。横浜にいる旧いタイプの私立探偵

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