第8話

文字数 1,341文字



ザ・ゲーム(1979年作品)第7回 久賀島にある戦争ゲーム用のアンドロイドとそれを自由に扱う南条則夫の超能力は、東西冷戦下のアメリカ・ソビエトの注目を集めていた。




「見てごらん」



 俺は背後を振り返った。ガキが指をならし

た。一勢に死体が立ちあがった。ある者は片

腕がちぎれ、ある者は首が吹き飛んでいる。

が立ち上がってこちらへ歩き始めている。





 俺はトリ(ダが立った。思わず失禁してし

まった。



 奴らの体から俺の射った弾丸がポロポロと

落ちている。体の中から外へはじき出されて

いるのだ。



 「うわっ、こいつらは」



 「驚く事はない。言っただろう。これは戦争

ゲームなんだって、あいつらはみんなゲーム用のアンドロイドさ。

僕の意志で動いている」



 彼らは則夫の前に整列した。ガキが手をI

振りすると、50名の男達は一瞬かき消えた。



 「ほら見てごらんよ」 則夫のカバンの中へ

男達が縮少化されて入っていた。まるでミニ

チュアモデルのように。



 「こ、これは」俺はもう腰が抜けかけている。





 「斟夥の軍隊さ。他にも僕は今、軍艦や潜水 一

艦を作っている。それに」則夫は再び手をふ

った。



 「あそこを見てごらん」 俺は自分自身の眼

を疑った。何もなかった所にM103戦車が15台

出現じていた。小さな国の軍隊よりすごい。



「これも僕の手駒なんだ。でも使うところが

ないのさ。人一人相手に戦車を何台も使った

 っておもしろくないしね。オジジが使わさし

てくれないんだ」則夫は欲求不満のようだ。



 「俺はどうなるんだ」



 「これを見た以上死んでもらわなきゃね。ど

んな方法がお好みかな」



 「わっ、待ってくれ」



 「みっともないね。さっきの戦闘ではそんな

事はなかったのに」



 『先刻と、今では違う。お前みたいな怪物あ

いてではどうしょうもない』



 「しかたがない。苦しまずに即死させてあげ

るよ」則夫はゆっくりと手を上げた。



 が一瞬。その手が止まる。表情が厳しくな

っていた。 

              ″

 「そうか。話を変えよう。僕に雇われないかい」俺は

命拾いしたようだ。



 「どうしたんだ、一体」俺の声はふるえてい

る。

 「オジジの南条剛造が危いのさ」



 ■アメリカの偵察衛星、ビッグバードが、久

賀島の上空に停止していた。映像はUSA国防省の

一室のスクリーンに映し出されている。



「ほしいな。この子供。武器としてな」ある将軍が言った。



「そうです。今までは、兵隊だけでしたが、

戦車も出現させるなんて」大尉が同意する。



 「彼が白熊の手にはいってみろ、軍事バラン

スがくずれてしまうぞ」



 「同感です」

 「彼は南条財閥の南条剛造の孫だったな」

 「そうです」

 「わかった。その筋から何とか手を打ってみ

ろ」

 「わかりました」



■ 同刻、ソ連、モスクワ、クレムリン宮殿の一室。

(1979年の東西冷戦時の話です)



 「偵察衛星ヤーチヤイカの映像通りである事が、

原子力潜水艦ウラジミール号の連絡で確認さ

れました。VTR映像が入手できましたので映し

ます」



KGB情報将校が円卓を囲む政治局員

の前で言った。映像が映し出された。



 「恐るべき子供だ」 

「同感です」 



「超能力者ですね」



 「もし、この子がアンクルサムの手に渡っ

「もし、この子がアンクルーサムの手に渡っ

てみろ、どうなる、ユーリノフ政治局員
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登場人物紹介

俺。横浜にいる旧いタイプの私立探偵

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