(二)-8

文字数 291文字

 俺が成田工場に到着したとき、消火活動が終わろうとしていたところであった。幸い、初期消火活動が上手くいき、工場内の一角のみを焼いただけで延焼は防げたとのことであった。生産設備への損害もなく、人的被害も何人かが煙を吸って病院に運ばれた程度で済んだ。
 警察と消防の現場検証があり、俺はそれに付き添うことになった。それが終わると消防の担当者から報告を受けた。どうやら放火の疑いがあるらしい。この工場は何十年もここで操業してきたが一度も火災なんて起こしたことはなかった。全国各地に十箇所ある工場も同じように火災を起こしたことは今まで一度もない。それが急に放火とは、少々驚きであった。

(続く)
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