ケンタロウ③

文字数 548文字

遊園地と水族館なら?水族館。

バラとコスモスなら?コスモス。

チョコのケーキとショートケーキなら?ショートケーキ。

イヌとネコなら?ネコ。

「…あ、シンちゃん、終わったみたい!」

カオリは相変わらずシンジの後を追っていたけれど、それを見るのは嫌ではなかった。

シンジはカオリを遠ざけたり傷つけたりすることはないからだ。

カオリが傷つくのが、オレにとっては一番許せない。

隣にいるのは自分でなくてもいい。
シンジがカオリを幸せにしてくれるなら。
それがカオリの望みだから。


でもその気持ちとは反比例して、日に日に、カオリはオレの中の大部分を占めていった。

気持ちを抑えているのは辛かった。

けれど、カオリとの時間を過ごせなくなる方が、何倍も辛い。


出会う順番が逆だったならと時々思うことはあった。

シンジよりも先にオレがカオリに出会っていたなら。


…どうだったというのだろう。


カオリはシンジを選ばなかった?
カオリはシンジを好きにならなかった?


オレが自分と似ているカオリを好きになったように、カオリもオレを好きになってくれることはなかっただろうか。


二択になると必ず同じ方を選ぶオレたちは。


同じ気持ちにならなかっただろうか。


何度も、繰り返し考えた。

そして、思った。



シンジになりたい。



……なりたいなんて、思わないはずじゃなかったのか。


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