その9 小説はとっくに「読む時代」から「書く時代」になってる(付:コンテスト考)

文字数 2,069文字

ジャンルといえば、先月〆切のコンテスト2つ。
「課題文学賞1」と「三題噺バトル1」。
どうして二つ同時にあったのかな。
お題がね、なんとなく、「課題文学賞」のほうが「純文学」というのか「文芸」というのか、そっち寄りで、「三題噺バトル」のほうが「ラノベ」寄りな気がした。
課題文学賞1のお題:登場人物4人の恋愛物
三題噺バトル1のお題:ロングヘアー・ミステリアス・ツンデレ
どちらにたくさん応募があるかを見て、運営さんが、私たちの中に「純文」寄りの人が多いのか「ラノベ」寄りの人が多いのか、見きわめたかったんだと思う。
どっちが多かったの?
それがね、さっき応募数を、タグの数で見てみたら、
「課題文学賞1」が139篇、「三題噺バトル1」が126篇だった。
ほぼ同数か。
中には両方出してる人もきっといると思うよ。
「純文学風に」「ラノベ文体で」なんて指定はないから。
ノベデイは半々ずつ集まってるってことなのかな。
そうとも言えるし……

純文学かラノベか、キャラ小説かライト文芸か、とかそういう分類は、うーん。
いまはもう、というか、もともと?

その作品や作家のタイプでは決められなくて、どの雑誌に載って、どんな表紙を付けて本にして売り出されたか、ということでしかないんじゃないのかな。と思った。
つまり、編集者さんが決めることだから、書く本人が悩んでもしかたない。
ね、そう言ったじゃんおれ。(その8で)
面白いもの書けばいいだけだよ。
うん。なんかすっきりした。
ありがとう。
ザチョーは応募したの、今回のコンテスト?
してない。自分の書きたいもの書くので手いっぱいで、時間がなかった。
なあんだ。
でも書きたいものがあるのはいいじゃないですか。
早く続き書いてよ。
ありがとう(嬉)
考えたんだけどさ。
何。
プロデビューって、何だろうね。
だからそんなこと考えてるひまあったら続き書いてよ。笑
うん。笑
私ね、小説家になりたいなーと思ってたんだけど……
もう小説家じゃん。
小説書いてるんだから。

そうなのよ。
稼げてないだけで。
稼ぎたいの?
それがね。
なんか、わかんなくなってきちゃった。
何がいちばんしたいのか、よーく考えてみたのよ。
でね、思ったの。
書きたいことを書いて、そのことだけ考えて生きていけたら、もう最高だなって。
お金の心配をせずに。
だから、例えば、小説で一文も儲からなくても、
年金で生きていければ……
いやさすがに年金もらうのまだ先でしょ!
失業保険で生きていければ……
失業保険は、仕事に就く意志のある人がもらうものだからね?
ここだけの話ね(ひそひそ)
何(ひそひそ)
私、プロの作家の友だちいるじゃない。
あー、○○さんね!
こないだ新聞にコラム載ってたよ。読んだ。
彼女、学生時代に賞取ってデビューしてるのね。本も何冊か出してるの。
でも、ウハウハ儲かってる感じではないよ……。
教えるのが好きだから、仕事辞めないのかもしれないけど。
プロはプロで厳しいだろうね。
うん。
あんがいね、こうしてノベデイで、誰からも注文をつけられずに好きなこと書かせてもらえるの、パラダイスなのかもしれないよ。(しみじみ)
そうだよ。
だから早く続き書きなよ。
(聞こえないふり)
あとは、紙の本だけ作れたら、もう言うことないと思うんだよね。(しみじみ)
もしかして、紙の本作りに逃げてる?
(聞こえないふり)
小説ってさ、とっくに「読む時代」から「書く時代」になってるんだと思うわけ。
ほんの少数の人だけが選ばれて、書くのを許されて、あとのみんなは「へへえー」ってありがたがって読むっていう時代はとっくに終わっててさ。
誰もが書いていいんだよ。
誰もがスポーツしたり、音楽したりしていいようにね。
なんか立派そうなこと言ってるけど!
それより四郎がどうなったか知りたいんですけど?
(聞こえないふり)
そして、誰もが自分で本を作って、自分で売っていいと思うんだよね。
アクセサリーだって何だってそうなってるもんね?

出版社さんも、新人作家を発掘して売り出すって以外に、書きたい私たちの相手してくれるところにビジネスチャンスがあるのになと。

こらぁ! やっぱり逃げてるだけだな!
アイシャとレイがどうなったかも早く知りたいんですけど?
あれさぁ、イナホーはどっちが女子でどっちが男子だと思う?
いいから続き書きんしゃい!!
ま、そういうことでね。
他人を気にせず、好きなことだけ書かせてもらって、それをちょこっと紙の本にして、好きな人にだけちょこっと売ったりあげたりしてみたいなと。
そのためだったら、儲けるどころか、少々お金出してその自由を買ったっていいぞ私は!
という話でした。
運営さん、よろしくお願いします!
めちゃくちゃ無理やりまとめに持ちこんでますが、
まあうちのわがままザチョーがこんな言ってるんで、よかったら聞いてやってください。
すいません。
なんでおれいっしょに頭下げてるんだ?
いつもありがとう!(喜)
なんか損した気分。
けっきょくおれってこういう星回り?(嘆)
気のせい、気のせい!
ーおしまいー



【付記】

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登場人物紹介

イナホー(本名「稲穂」)

俳優。シアターユニット・サラ専属。名前だけ見て女子と間違われることがあるが、男性。居合道六段、剣号「哲舟」(てっしゅう)。

ザチョー(本名「ミムラ」)

劇作家・演出家。ときどき女優。シアターユニット・サラ主宰。

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