第8話 これは、どうでもよくないこと。

文字数 815文字

「いい社会」とは?

 全共闘世代というのがあって、ぼくの師のような、コバヤシさんとスズキさんは、その世代である。
 スズキさんは、もう亡くなってしまったのだけれど、ぼくはスズキさんに訊いたことがある。
「(学生運動を)なんで、してたんですか?」
 スズキさんは笑って、「革命を起こそうとしてたんだよ。」と答えた、その後で、いや、壊すのがね、おもしろかったんだよ、とも答えてくれた。

 何か運動を起こす以上、何か理想があって、そういう行動を起こすのだろう、と、ぼくは考えていた。で、コバヤシさんに訊いたことがある。
「ぼくも今の政治とか、全然よくないと思ってるんですけど。その、悪くない社会、いい社会って、何なんだろうな、って。」
 コバヤシさんは、うーん、と言って、ちょっと考えた後で、「差別がある、っていうのは、問題だよね、まず。」と答えてくれた。差別がない社会っていうのは、理想だよね、まず、だったかな。

 もう10年以上前の話。思い出すうちに、何を最初書こうとしていたのか、忘れてしまった。

 ただ、ぼくがいつも考えてるのは、こんなことである── もう、あとは実践しかないのではないか、いろんな思想、考え方、詳しくは知らないが、むずかしめな論、それはそれとして、単純に、まったくシンプルに、「ひどいものはひどい」と、国に、つまり政治家などに向けて…

 今年90歳になる父に、「今の社会はどうですか」と訊いたのは、今月のはじめだった。
「まぁ、まぁ、じゃないの」と言って少し笑った後、「いつの時代もね、そんな、いい社会なんて無いんだよ。戦争がなければ、いいんだよ。あれは本当に愚の骨頂でね…」というようなことを言っていた。
 父にとっては、戦争が現在おこなわれていないならば、まぁ、まぁ、である、らしい。

「いい社会」…、それは、さておき、とにかく、政治家の言うことを、全然信用できないというのは、やはりおかしい、とんでもない社会なのではないのかなぁ。
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