はじめに

文字数 839文字

結婚したら、子どもはすぐにできると思っていました。
それが当たり前だと思っていました。
まさか、自分が妊娠できないなんて考えもしていませんでした。

不妊治療をはじめて2年6ヵ月、未だに妊娠には至っていません。

毎月、真っ白な妊娠検査薬を前に落ち込むばかり。
努力だけでは越えられない壁があることを知りました。

体外受精にステップアップしてからは、仕事との両立ができず、会社を退職。育児と仕事の両立は難しいと聞いていましたが、不妊治療と仕事の両立がこんなにも難しいとは…。

そして、不妊治療をしているなかで、私をもっとも苦しめたのは精神的なストレスでした。

妊娠検査薬で陰性がでるたびに、周りから妊娠報告を聞くたびに、治療のため遅刻することを上司に謝罪するたびに、何度も何度も、悲しく暗い気持ちになりました。
「なんで自分だけがこんな想いをするのか…」という鬱々とした感情にむしばまれ、自分がひどくネガティブな人間になったようでした。

しかし、不妊治療とはそういうものなのです。

努力では決して越えることができない高い壁。神様しか知らない、ただの運。

気まぐれな運に振り回されてしまうから、努力している人ほどネガティブになり、落ち込み、嫉妬に狂ってしまうのです。だからこそ、多くの人が、不妊治療に精神的なストレスを抱えている。

「本当は、穏やかで明るい性格なのに…」。
不妊治療を受けている多くの女性がそう思っているはず。私もそうでした。

だから私はたくさんの本を読みました。読書が好きだからではなく、解決する方法を知りたかったから。どうしたら、いつもの私に戻れるのか、その疑問への答えを探しました。

「これは使える」と思ったものを実践してきたことで、幸運にも、私の精神的なストレスはかなり緩和されています。

私は妊娠できるのか、その答えはまだ見つかっていません。

それでもどうか、同じ悩みを抱える同志のようなみなさんが、少しでも、すこやかに不妊治療に取り組めるよう、エールを込めて、この本を書き綴りたいと思います。
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