第29話勉強会
文字数 1,098文字
『試験勉強は捗ってる?』
そんな文章が携帯電話の画面に映し出されている。
連絡先を交換してから、どちらともなく自然と連絡することがあった。
時間はだいたい夜。お互いに試験勉強をしているらしく、30分から1時間に1度くらいの間隔でやり取りがあった。
(こっちに集中しだしたら終わりだしな)
遼太郎は電話を机に置く。
勉強の合間、ちょっとした休憩を使って返信し、相手も同じように合間に返信する。やり取りの数は少ないものの、孤独に机に向かうよりは遥かにリラックスできた。
そして、期末試験も1週間前になった日曜日。遼太郎は自宅マンションの前に居た。試験も近いという事でアルバイトも休みを貰い、家で勉強に精を出そう決めたのだが、アイノとのメールのやり取りの中で一緒に勉強しようという話になった結果、図書館での勉強が決まった。
場所的に、図書館はアイノの家に近いので、一度彼女の家で待ち合わせてから図書館に向かう。
遼太郎は待ち合わせ時間に遅れないように余裕を持って歩いていたのだが、彼女の家に着いた時にはもうアイノは自宅の前で待っていた。
「おはよう、アイノさん」
遼太郎が声をかけると、アイノはパッと顔を上げる。
「おはよう、鳴海君」
ジーンズにカジュアルなシャツ、そして肩からトートバッグというラフな姿のアイノ。
集合時間より早いが、2人が揃ったので図書館に向かった。そして、図書館に到着した時に彼らの目に飛び込んできたものがある。
「「え?」」
アイノと遼太郎は声を揃えて驚き、出入口の自動ドアに貼られている1枚の張り紙を見る。
『本日臨時休業』
タイミングが悪いとしか言いようがない事態に固まる。
「どうしよっか」
アイノがポツリとつぶやいた。勉強するだけなら喫茶店やファミリーレストランでも可能だが、日曜日ともなれば客足も多く、長時間テーブルを占拠するわけにもいかない。
限られた選択肢の中で、2人がとった行動は遼太郎の家で勉強する。だった。
家族全員が揃っているアイノの家では落ち着かない、との納得できる理由から却下となったのだった。
2度目の鳴海宅、リビングで勉強をするために教科書やノートを広げる。
こういう状況ならば、大半は会話が中心となり勉強が手に着かないのだろうが、幾分 真面目な2人だったために、会話も無く黙々と勉強をこなしていった。
10時半、11時と時間を過ごし、正午を過ぎた。
「アイノさん。そろそろお昼にしようか」
時計を確認した遼太郎は目の前の少女にそう話し掛けた。
そんな文章が携帯電話の画面に映し出されている。
連絡先を交換してから、どちらともなく自然と連絡することがあった。
時間はだいたい夜。お互いに試験勉強をしているらしく、30分から1時間に1度くらいの間隔でやり取りがあった。
(こっちに集中しだしたら終わりだしな)
遼太郎は電話を机に置く。
勉強の合間、ちょっとした休憩を使って返信し、相手も同じように合間に返信する。やり取りの数は少ないものの、孤独に机に向かうよりは遥かにリラックスできた。
そして、期末試験も1週間前になった日曜日。遼太郎は自宅マンションの前に居た。試験も近いという事でアルバイトも休みを貰い、家で勉強に精を出そう決めたのだが、アイノとのメールのやり取りの中で一緒に勉強しようという話になった結果、図書館での勉強が決まった。
場所的に、図書館はアイノの家に近いので、一度彼女の家で待ち合わせてから図書館に向かう。
遼太郎は待ち合わせ時間に遅れないように余裕を持って歩いていたのだが、彼女の家に着いた時にはもうアイノは自宅の前で待っていた。
「おはよう、アイノさん」
遼太郎が声をかけると、アイノはパッと顔を上げる。
「おはよう、鳴海君」
ジーンズにカジュアルなシャツ、そして肩からトートバッグというラフな姿のアイノ。
集合時間より早いが、2人が揃ったので図書館に向かった。そして、図書館に到着した時に彼らの目に飛び込んできたものがある。
「「え?」」
アイノと遼太郎は声を揃えて驚き、出入口の自動ドアに貼られている1枚の張り紙を見る。
『本日臨時休業』
タイミングが悪いとしか言いようがない事態に固まる。
「どうしよっか」
アイノがポツリとつぶやいた。勉強するだけなら喫茶店やファミリーレストランでも可能だが、日曜日ともなれば客足も多く、長時間テーブルを占拠するわけにもいかない。
限られた選択肢の中で、2人がとった行動は遼太郎の家で勉強する。だった。
家族全員が揃っているアイノの家では落ち着かない、との納得できる理由から却下となったのだった。
2度目の鳴海宅、リビングで勉強をするために教科書やノートを広げる。
こういう状況ならば、大半は会話が中心となり勉強が手に着かないのだろうが、
10時半、11時と時間を過ごし、正午を過ぎた。
「アイノさん。そろそろお昼にしようか」
時計を確認した遼太郎は目の前の少女にそう話し掛けた。