法界も
文字数 1,888文字
生と死の哲学を披露した要はその日次の夜に備えて眠ろうとしたが、どうやら求は朝の住人らしく、要が仕事をしていた間眠っていたようだった
要が眠ろうとすれば求は活動しようとする
求が活動しようとすれば要は眠る
この先は要の物語ではなく求の時間だ
単なる視点交代だよ
要が解き明かせなかった謎を求が解き明かす
世の中、複数の視点で物事を眺めると新しい発見があったりするだろう?
求にはそれをやってもらうだけ
難しく考えなくていいよ
求は要の家を出発すると昼間の街を散策することにした
まず向かったのは公園だった
その公園はとても広く、隣がすぐ海で近くに大きな展示場(ビッグサイトじゃないんだよなあ、これが)もあり実に素晴らしいところだった
公園のど真ん中に海から延びる水路が引かれ、そこに置かれた飛び石の上を求は歩いた
実に、実に陽光が眩しいではないか
光が海面に反射して求を照らす
求が言うところの生きる喜びとはこういうことか
死神のくせに……生きることを謳歌している
ふと公園に設置されている椅子に座った女性に求は話しかけてしまう
なんか、こうやって誰構わず話しかけてしまうのは求の悪いところでありいいところでもある
求は無神経なので口にしなかったが、話している相手がやっていることは構ってほしい子供がおとぎ話を作っているのと大して変わらない
現実世界があまりにも退屈で、自分自身の境遇に虚飾を加え装飾を加え、人に面白く映る様に見せている
実際問題心が貧困で気持ちにやりどころがないのだろう
ひょっとしたら豊かな心を求めるがあまり、心がすでに死に絶えてしまったかのような状態なのかもしれない
ここフラグですよー、伏線ですよー
『』を頭の中でつけてこの後の物語の参考にしてくださいねー