白玉楼も
文字数 2,098文字
夕方になった
求がいた公園はすでに日が沈み、人気はなくなってきた
するとどうだろうか、公園から見える海の向こう、ちょうど陸と陸をつないでいる橋の上を数体の白い山犬が歩いている、それが見えた
具体的にはベイブリッジの上を白い山犬が歩いていた
これは偶然ではない
なぜか?
その白銀の山犬は一瞬、求を見た
求は死神で、白銀の山犬も多分死神
なんや?
あの世にもそんな明確な上下関係あるの?
大抵の人間、あの世は平等で救われてるって感じがあると思うんだけど、死神でこの関係性って、夢壊れまくりだな、おい
山犬は求の死神としての格が低すぎて、チラ見してきたが、距離的にも興味的にも眼中にない
そりゃプロの野球選手が小学生の草野球を見て盛り上がるわけがない
それは死神の世界でも全く同じ
求は素早いステップで拠点に戻る
そこでは要がタッパーにご飯をよそって、そこに熱湯を注いで粗末なおかゆにして食べている姿があった
求は山犬の謎を解き明かしているが、要は解き明かしていない
二人の温度感の差が激しいが、たぶん要の器量なら平気だろう