おつかい2
文字数 345文字
優介side
自販機じゃんけん、じゃんけんぽん!
グループが結成して2ヶ月、季節は残暑から冬の訪れを感じるほどにまで変化していた。この2ヶ月で定着した、練習終わりの奢りじゃんけん。じゃんけんの強い俺には珍しく今日は1人負けだった。みんなのジュースを両手に抱えて、レッスン室に戻る途中、トイレの前の椅子に腰掛けた咲子の姿があった。
それまで下を向いていたから表情はわからなかったけど、僕に向ける笑顔は無理しているような気がした。
そういう咲子の顔はいつも通りで少し安心した。
この時は、咲子のことなんてまだまだ何も知らなかったから。