おつかい3
文字数 971文字
咲子side
グループが結成されて2ヶ月。レッスンやお仕事など、わたしにとっては初めてのことばかりではあったが全力で臨んできた。しかし、デビューが近づくにつれて不安は増していくばかりだった。メディアに出演するようになると、少なからず女1人なことに対する批判も見受けられ、それは私の自信をさらに削っていった。
どんどんと溢れる後ろ向きな気持ちを、ポツポツと吐き出していく。誰かに頼りたい気持ちもあるけれど、それすらも迷惑になるんじゃないかと怖くてできない私は、夜の公園でひとり、こうして気持ちを落ち着けようとするしかなかった。
お母さんに言われて、スーパーに向かう。もうお風呂に入ったからあんまり外には出たくないんだけど、お母さんには勝てない。早く買って帰ろうと小走りで向かっていると、途中の公園に見覚えのある人影が見えた。
そう言う咲子の目は少し赤くなっていた。デビューのことでいろいろ感じていることがあるのだろうけれど、それは俺たちも同じで、各々がいっぱいいっぱいだからこそ咲子もなに持ってこないのだろう。人に頼るのが苦手な咲子はなおさらだ。
冗談を言いながら、俺の隣に並んだ咲子は以前に比べて少し痩せたような気がした。
俺自身、どんどん変わっていく環境に平気かと言われると嘘になる。でもみんなで頑張ろうって言うのがグループなんじゃないかって、もっと頼れよって咲子にも伝わっていれば良いな。