第7話

文字数 512文字

「よ、良かった~!」
「さっきから声デカいんだよ!もう夜遅いし、静かにしなさいよ!」
もぉー!お、お化けじゃなくて良かった~!
「ただの人かよ~!」
「人で悪かったわね!!」
私の目の前にいるのは、大柄の女性。身長も横幅もデケェ。小太りぐらいかな?そんなもん。髪の毛はショートカット。で、その女の人が家の奥に姿を消したかと思うと、大きな白いバスタオルを持ってきた。
「ちょ!何すんのよ!」
そのまま頭に被せられて、女の人はわちゃわちゃ私の長い髪の毛を拭きだした。これってどうすればいいの?誰かに頭を拭いてもらった事何て、久しぶりすぎて……。やばい。もう……。
「うぅ……う!うぅ……。」
私何してんだろ。ママとパパが攫われて、誰にも助けを求められなくて。でも、別に犯罪に何て手を染めなくても良かったのに……。今の私の姿見たらママとパパは何て言うんだろ。怖くて想像できない。名前も知らず出会ったばっかり、そんな私にも優しくしてくれる人が、この世界にはいるのに、私は人の物を盗んで、騙して……。
「うわーん!!!」
バカバカバカ!私のバカ!!泣きじゃくった私の髪の毛を拭き続ける女の人の手は、タオル越しでも伝わる不思議な温かさと懐かしさを持っていた。
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登場人物紹介

花森くるみ

両親がいない女子高生。

安上彩子

カフェ『エスポワール』を経営している。くるみを引き取る。

山影浩平

カフェの常連さん。くるみを助けた人。

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