第20話

文字数 575文字

「は、早い……とかそういう問題じゃない。」
「さあ、両親を助けに行くぞ!」
「は?」
ちょ、ちょっと待って!話についていけないんだもん。いや、迎えにきたら両親を助けるって約束はしたんだけど。一年後とかそういう期間の問題でも無いんだよね。その、頭が追い付かない。
「その前に!くるみは何で家出なんてしたんだい?」
店長が私と山影さん……浩平さん?何?何て呼べばいいか分かんないから、とにかく浩平さんにする。店長が浩平さんと私の間に入って、話に割り込んできた。
「そうだ。いきなり倒れてびっくりしたんだから、理由ぐらい話せよ。」
「それは……店長が……。」
言えない。言えるわけがない。いらないって言ったなんて言えるわけない。
「私が?私が何かしたの?」
あれ?もしかして店長自覚無い感じなの?電話の内容聞いてなかったと思われてる?
「言えよ。」
浩平さんはそう言うけど、店長を責めるみたいで、言い出す気になれない。
「もしかして電話?」
「電話?」「電話!」
分かるじゃん!電話だよ電話!
「あれは違うよ!アルバイトしたいって言ってきた子がいたから、ずばっといらないって言ったんだよ。」
いや、ずばっと言いすぎでしょ!誤解しちゃうじゃん!
「あー!お腹空いた!ご飯作ってくるから!」
店長が部屋を出ていくと、ぼそりと浩平さんが言った。
「店長は本気でくるみの事を愛してんだから、安心しなよ。」
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登場人物紹介

花森くるみ

両親がいない女子高生。

安上彩子

カフェ『エスポワール』を経営している。くるみを引き取る。

山影浩平

カフェの常連さん。くるみを助けた人。

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