第18話

文字数 569文字

「絶対会った事あるの!」
「でも無いって言われたんだろう?」
「あるの!顔は見たことないけど、声は聞いたことあるの!絶対!」
「声だけ?どこで?」
「それは……覚えてないけど。」
夜ご飯の時店長に話していると……あ!もうこんな時間!急いで寝る支度をして、部屋に戻る。さーて店長にお休みを言いにいこ。
「てんちょ……。」
「はい。はい。そうなんです。はい。」
ん?何か聞こえる?電話かな?
「はい。本当に……。は……い。」
え?なにこれ?泣いてる?店長、誰と話してるの?本当に泣いてるの?
「ええ。この店で雇ってる子がいるんです。住み込みで。ええ。だから、給料は渡さずに生活費に変えてるんですが、まあこっちが赤字で……。はい。正直不安です。そうなんです。だからいらないです。」
い、ら、な、い?いらない。必要ないって事だよね?
「ええ、はい。失礼します。」
誰が?私がいらないの?私追い出されるの?店長の事、本当の家族だと思ってたのに。本当はいらないって思われてたの?階段を駆け上がる。どうして?私の事大事にしてくれていたのに?本気じゃ無かったんだ。どうして?ベッドにうつ伏せになって、泣き続ける。もうここにいない方がいいのかもしれない。店長を苦しめてるのは私なの。だって、泣いてたの。
「泣いてたんだよ……。」
口に出せば現実味が増して、私はある決意をすることになった。
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登場人物紹介

花森くるみ

両親がいない女子高生。

安上彩子

カフェ『エスポワール』を経営している。くるみを引き取る。

山影浩平

カフェの常連さん。くるみを助けた人。

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