第10話

文字数 694文字

ルーカス家の者と結婚したものは、皆子供ができたのち、病でこの世を去っている。

ソフィアの夫、ラン=ギルバートもラルフが生まれてから僅か数日で病に倒れ、帰らぬ人となった。

また、ソフィアは母からルーカス家について詳しく教えられなかったため、どうやってこの呪われた家系が生き延びてきたのか不思議に思った。

ソフィ、聞いて欲しい話があるの。
「ソフィ、あなたが物心つく前からおばあちゃんがいなかったのは、お父さんと同じ理由なの」

15になったソフィアは母に突然告げられた。

かしこまった言い方の母にソフィアは少し悪い予感がした。ソフィアはそれを拭い去ろうと、決して大した話にはならないだろうと、そう望んで
「それって、病気ってこと?」
と何でもないように聞いた。

母はそれを裏切った。
「そう…でもね、ただの病気じゃないの。代々続いているの…
おじいちゃんも私も詳しくは知らないけど、ルーカス家と結婚した人は皆病気で亡くなっているの」

ただの病気じゃない、呪いなの。

ソフィアは雷に撃たれたような衝撃を受けた。呪い?急に自分が怖くなった。
何それ…?

「ごめんね…」

何でお母さんが謝るの?お母さんは何も悪いことしてないでしょ?
こういう時に限って変に冷静な自分がいた。

「ルーカス家はね、元々爵を有する貴族だったんだけど、子供が生まれた途端、立て続けに父親もしくは母親が亡くなるもんだから、この噂はすぐに広がったの。ルーカス家は呪われているって。そして誰もルーカス家に寄り付かなくなって、そのせいでしまいには貴族の位を剥奪されたと言われているの」

ソフィアの目を見て、ソフィにはいつか伝えなくちゃいけないと思ったの、と母は言った。
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