#05 ニコラのいたずら
文字数 1,950文字
ニコラによって命を吹き込まれた人形たちが、部屋中を駆けずり回ったり、おしゃべりしたり、喧嘩をしたりなど騒ぎ立てます。
ニコラは宙に浮くベッドの上で、目を回すノエルを見て、ケラケラと笑います。
ニコラはそう言うと、ノエルに小さなビンをちらつかせました。
ニコラがそう言うと、小さな小さな靴がキラリと光りました。
すると!
すると!
ノエルの口が、チャックで閉めたかのように本当に開きません。
ノエルは、口をもごもごとさせて、ニコラに訴えます。
ニコラはそれを見て、おなかを抱えてケラケラと笑いこけます。
ニコラのその一言で、小さな小さな靴がまたキラリと光りました。
さあ、大変です。
ノエルは靴の持ち主が現れるまで、大人しく様子を見ることにしたのです。
クマに牙 を書いたのは、二コラだぞ。でも、あのとき、ノエルのやつ、「似合う、超カワイイ♡」ってよろこんでたな。ブタのときは、ふたりが取り合いになって、耳がちぎれるんじゃないかと思って冷や冷やもんだったし。あははは、笑えるな!
ニコラによって命を吹き込まれた人形たちが、自分たちの意思でノエルの体によじ登っていきます。
ノエルはまだそのことに気づいていません。
ニコラはニタニタしながら、これから起こる何かを心待ちにしています。
ようやく、クマ、ブタ、犬、フランス人形の4体がノエルの肩にたどり着きました。
「せーの」で、
4体が、いっせいにノエルの長い髪の毛を引っ張ります。
ノエルは悲鳴をあげると、頭をぱっと押さえました。
ノエルがそう言うと、4体は素直にスルスルと滑るように降りてきました。
さっきまでにぎやかだった人形たちも、今ではお行儀よく棚に並んでいます。
ただひとつをのぞいては……。
ニコラの言うように、靴の持ち主が現れるまでなら……!
ノエルは胸を弾ませるのでした。