#08 楽しいひととき
文字数 1,541文字
楽器を演奏していた人形たちも、今はもう棚の中です。
ノエルとニコラも子供の姿に戻り、ドレスとタキシードを引きずっています。
妖精は、プツリと自分の髪を1本抜きました。
そして、その髪に「ふぅ」と一息かけると、見る間にステッキに変わり、円を描くようにふたりに向けて振ります。
妖精が呪文を唱えると、ドレスとタキシードが幼い体に合うサイズに変わりました。
今度は棚に並んでいる人形に向けて、ステッキを振ります。
人形たちが再び、オーケストラのように演奏し始めました。
人形たちが再び、オーケストラのように演奏し始めました。
なんて素敵な夜なんでしょう。
人形たちの奏でる美しいメロディーに合わせて、妖精が空中でくるくると優雅に踊り出します。
それを見て、ノエルとニコラも手を取り合って踊りだしました。
まるで、夢を見ているような気分です。
笑いの絶えない時間が続きます。
リゴーン、リゴーン……。
10時を知らせる鐘です!
妖精がふたりに向けてステッキを振りました。
すると、ふたりの体がフワリと宙に浮かびました。
ニコラは、部屋の中をスイスイと器用に飛び回ります。
妖精がステッキを振って、窓を開けました。
すうっと、冷気が流れ込むなか、妖精が夜空に飛び立ちます。
ニコラも妖精のあとに続いて、スイスイと夜空へ行きました。
すうっと、冷気が流れ込むなか、妖精が夜空に飛び立ちます。
ニコラも妖精のあとに続いて、スイスイと夜空へ行きました。
ノエルは目がくらみ、窓から飛び立てずにいます。
雪はいつの間にか、やんでいました。
下は、じゅうたんを敷き詰めたかのように真っ白です。
ニコラと妖精は、ノエルが窓から飛び立つのを今か今かと待っています。
ノエルはプールに飛び込む感覚で、勢いよく飛び降りました。
体が、フワリと宙に浮きました。
夢のような出来事は、まだまだ終わりません。
ノエルとニコラは、妖精のあとについて、大晦日の夜空を飛び回ります。
街では、新年を迎えようと大にぎわいです。
大聖堂からは歌声が聞こえ、大広場から花火が打ち上げられていました。
ふたりは時計塔の先端に座って、街を見下ろします。
両親が、自宅へ向かっているではありませんか!
良い子は、ベッドですやすやと眠っている時間です。