#03 手紙

文字数 564文字


 ノエルは、小さな小さな靴の持ち主に手紙を書くことにしました。



 親愛なる


   小さな小さなあなた様




  あなたの小さな小さな靴を、お預かりしています。


  片靴をなくされたあなたは、さぞお困りのことでしょう。


  お気がねなく、窓をノックしてください。




          あなたの友  ノエルより

……できた!


 ノエルは間違いがないか、手紙を何度も読み返しました。

 まだお父さんのタキシードを着ているニコラが、横からのぞき込みます。


ノエル、お母さんの言いつけ、覚えてる?
もちろん、覚えてるわよ。
僕は、“君の面倒を見る”と約束したんだんだ。この手紙をみると、君はお母さんの言いつけを破ることになるじゃないか。
“窓”よ。

確かに、お母さまは“だれが訪ねてきても、絶対にドアを開けてはいけませんよ!”って言ってたわ。でも、“窓”なら……? “ドア”じゃないんだし、言いつけを破ったことにならないわ。

“ドア”も“窓”もいっしょだから!
あー、この靴の持ち主は、今頃きっと、この雪のなかで自分の靴を探しまわっているに違いないわ。靴を持ち主に返すだけじゃない。お母さまもきっと、わかってくれるはずよ!
そうかなぁ……。


 ノエルは、手紙を窓に貼り付けました。

 さあ、この小さな小さな靴の持ち主は、この手紙に気づいて、幼いふたりの前に現れるのでしょうか?


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登場人物紹介

ノエル


おしゃまな女の子

ニコラ


いたずら好きの男の子

大人になったノエル

大人になった二コラ

妖精

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