#09 妖精からの贈り物

文字数 990文字

二コラ、ほら急いでっ!
わかってるって!


 ノエルとニコラは、急いでベッドにもぐり込みます。


フリフリフリ!


 妖精はフッと電気を消し、夜空へと飛び立ちました。



 しばらくして、両親が家に帰ってきました。

 両親はたいそうご機嫌で、なにやら楽しそうに話をしているのが聞こえます。



 お母さんは、ふと思い出したかのように言いました。

そういえば、さっき、ノエルとニコラを見たような気がするの。……でも、ふたりは家でお留守番してたんだし、きっと見間違いね。
なにを見たんだい? 久しぶりに、君のびっくりするような話を聞かせてくれないかい?
笑わないって約束よ? ふたりが……、空を飛んでいたように見えたの。
あははは、空をかい? そうだな、君はきっと疲れてたのさ。子供たちは、とっくに夢の中だよ。

 お父さんはクスクス笑うと、金の懐中時計を見て言いました。


そうね、子供たちのことが気になって、正直あまり楽しめなかったわ。
ああ、君はずっと(うわ)の空だった。そんなに心配なら、今から子供たちの寝顔でも見に行くかい?
ええ。


 ガチャ。

 静かにドアが開きました。

ほら、子供たちなら寝てるよ。
ええ、そうね……。あ、窓が…………!
二コラだな。私たちを見送るときに、閉め忘れたんだろう。


 お父さんが窓を閉めようとしたそのときです。

 たくさんの星が、流れてくるではありませんか!

あっ、流れ星……っ!
いや、流星(りゅうせい)だ! 大晦日の夜に、流星が見られるとは!
 

 お父さんが、お母さんの肩を抱き寄せ、ふたりで星空を見上げたときでした。

 眠っていると思っていた子供たちが、ばっとベットから飛び降りてくるではありませんか!


わぁ、きれい……!
星がいっぱい、落ちてくるっ!
 ノエルとニコラは、目をきらきらと輝かせながら言いました。
まあ、あなたたち起きて…………っ!
しっ!

 生まれて初めて見る、流星の夜です。

 きらきらと流れる星の中から、ふたりは見つけました。


 あの銀の靴を履いた妖精を!



あっ!
あっ!
 妖精は空に向かって、円を描くようにステッキを振っています。
フリフリフリ!
空を飛んでたか……。君が言ったこと、まんざら嘘じゃないみたいだよ。
えっ……?


 星空を眺めながら、お父さんとお母さんは、ふたりの子供を見て優しく微笑みました。

 だって、ふたりはまだドレスとタキシードを着たまんまなんですもの。



The END♡
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登場人物紹介

ノエル


おしゃまな女の子

ニコラ


いたずら好きの男の子

大人になったノエル

大人になった二コラ

妖精

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