#07 デート
文字数 2,404文字
そして、私の誕生日♡
待ち合わせは、お昼の1時。
場所は、駅の南口の時計台の下で。
1時まで時間がまだあるから、めっちゃ気合いいれてメイクしていこう!
それに、初デートは大切な思い出にしたいから、いつもよりちょっと大人っぽく────。
それに、初デートは大切な思い出にしたいから、いつもよりちょっと大人っぽく────。
そうだな、髪でも巻いていこうかな?
了がノックもせず、部屋に飛び込んできた。
バッと、床にしゃがみ込む。
もぉ~、泣きそう。
了に、了に……見られた……。
下着姿、見られちゃった────っ!!!
もぉ~、泣きそう。
了に、了に……見られた……。
下着姿、見られちゃった────っ!!!
“変な男”って……、ご心配なく、沢木くんは、絵に描いたような真面目な好青年だから。誰かさんみたいに急にキスしてきたり、抱きついてきたり、ノックもしないで女子の部屋に入ってくるような人じゃないから安心して。
どうしたらいいんだろう。
沢木くんが、大きく手を振ってやってきた。
私服姿の沢木くんだ!
制服のときと雰囲気が違う。
どうしよ、うまくしゃべれるかな……?
どうしよ、うまくしゃべれるかな……?
スタスタと歩いていく了。
はあ⁉
なんでアンタが勝手に決めてんのっ⁉
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
なんなのこれ……。
せっかくのデートが台無しじゃない。
だって、この映画ずっと見たかったんだもん。
「もう二度と恋愛はしない」と誓ったヒロインの前に、ある男性が現れて、二人は恋に落ちるの。だけど、ヒロインは亡くなった恋人にまだ想いが残っていて、またその男性も自分のライバルがこの世にいない人だと知って、なにも告げずにヒロインの前から去っていくの。そして何年かして、二人は偶然にも異郷の地でめぐり合うって話!
はあ⁉ なんでそんな後味が悪いもの、見なきゃなんないのよ! 絶対、恋愛もの! 恋愛には障害はつきもの! 二人がそれをどうやって乗り越えてハッピーエンドになるのか、その過程を見たいの! ホラーを見たければ、おひとりでどうぞ。ねっ、沢木くん?
了の耳元でボソッと言うと、了の顔がみるみる真っ赤に染まっていく。
ニコッと勝ち誇った笑みで、手をひらひらと振って了を送り出す。
了とのやり取りを見ていた沢木くんが、思いつめた顔をして口を開く。
妬いちゃう?
カァと赤くなる私の前に、了がポップコーンとジュースをトレーに乗せて戻ってくる。
カァと赤くなる私の前に、了がポップコーンとジュースをトレーに乗せて戻ってくる。
沢木くんが変なこと言うから……!