もぞもぞと目を擦りながら体を起こす私の前に、上半身裸の了。
眠気なんて一瞬で吹っ飛ぶ。
了の部屋に、了のベッドの上……で朝を迎えたということは…………。
私……、
まさか、了と……しちゃった?
シャワーを浴びてきたのか、了の体からボディソープのにおいが漂う。
きのうの憂は、大胆でめちゃくちゃかわいかったよ。憂も、シャワー浴びてきたら?
それって、やっぱり……っ!!
そーっと、布団の中をのぞく私。
「ちょ、ちょちょちょっと、なんで服脱ぐのよぉ~! 早く着て~」
私の反応見て、絶対楽しんでるっ!
了の引き締まった体を見て、ゴクリと息をのむ。
どうしよう、目のやり場に困る……。
「“着替えなきゃ”とは言ったけど、拭くとは言ってないしっ!」
「い、いっしょじゃない! 元気そうだし、自分でやったら?」
「どこが“病人”なんだか……。もぉ、しょうがないなぁ……」
了の胸に手を伸ばす。
濡らしたタオルで、体を拭いていく。
突然、了に手をつかまれると、そのままベッドに押し倒される。
あ……。
了の顔がゆっくりと近づいてくる。
了…………。
キスされると思った瞬間、了の顔がストンと胸の上に落ちてくる。
えっ、ちょっ……!
胸に顔をうずめたまま、何の反応もナシ。
かわりに聞こえてきたのが、スースーという寝息だけ。
……寝ちゃった、の?
ちょっぴり残念に思っている自分がいる。
了とならシテもいいって、私────。
気持ちよさそうに眠る了を、さらに引き寄せるかのように抱きしめ、私もそのまま目を閉じた…………。
(む、無意識だから……っ! 自分から、了を抱きしめて寝ちゃうなんて! まさか、“大胆でかわいかった”ってそういうこと⁉)
「……ん」
(……なんか、柔らかい…………。む……胸っ⁉)
そっか、あのまま寝落ち、ってやつか。
……ダサッ。(反省)
まだ日が昇る前。
むくっと起き上がって、気持ちよさそうに眠ってる憂のほっぺたをツンツンと突っついてみる。
や、柔らけ~。
無防備な姿を見た途端、憂のその唇に思わずキスをしてしまった。
触れるだけでよかったのに……。
寝ぼけながら、俺のこと抱きしめてくるから……っ!
歯止めがきかなくなった俺は、何度も何度も何度も……、憂と繰り返しキスをした。
(……ヤバッ。思い出すだけでも興奮する。あのときの憂はめちゃくちゃエロくて、大胆でかわいかった)
私……、自分でもよくわかんないんだけど。了とのキス……、嫌じゃなかった。
きのう、了にキスされたとき……嫌じゃなかった。
わ、わかんないよ。でも、好き……なんだと思う。了の一言でうれしくなったり、苦しくなったり……。キ、キスされたときも、ストップサインでなかったし…………!
恥ずかしくてうつむく私を、了がグイッと顎を引き寄せる。
……了────?
そう言って、目の前に迫ってくる了の顔。
試す?
そうすれば、ちゃんと答えが出る?
────唇が触れる、そう思った瞬間……。
ブルブルブルと、鳴り出す私のスマホ。
ポフッと、枕に顔をうずめる了。
……私、期待してた。
やっぱり、了のことが……好き……?
“きのうはごめん。今日、会いたい。会って、直接話したい”
スマホを見て、思わずため息がもれる。
どうしよう。
きのうの夜から、ずっとラインがきてた……。
おいおい、それが彼氏に対する態度かよ。きのうとはえらい変わりよう……。
そうだよ、了のせいじゃない。了が突然、現れたりするから……。それまでの私は、沢木くんのことでイッパイだったのに……! 私の心、かき乱すようなことばかりして────‼
“好き”って言う前に、了の指に
遮られる。
私の唇に人差し指を当てて、その先を言わせようとしない。
俺は、今も昔も変わらず、憂だけだよ。憂の気持ちが俺に向くまで、俺はずっと辛抱強く待つつもりでいたのに……。
責任なら、いつでも取ってやるし。今はちゃんと彼氏に会ってこいっ!