#04 了と嫉妬
文字数 1,355文字
そんなこと言われると、余計恥ずかしくて沢木くんの顔、見れないじゃん。
ちらりと見ると、頬を赤く染めてポリポリとかく沢木くんの姿に、さらにキュンとさせられる。
私、超贅沢 な時間を過ごしているような気がする。
ボタボタと雨の滴が傘に落ちるなか、傘から滑り落ちるように、沢木くんの肩にかかる。
ちらりと見ると、頬を赤く染めてポリポリとかく沢木くんの姿に、さらにキュンとさせられる。
私、超
ボタボタと雨の滴が傘に落ちるなか、傘から滑り落ちるように、沢木くんの肩にかかる。
はははと笑う沢木くんを見て、胸がドキンと高鳴る。
そっか、私が濡れないようにしてくれてたんだ。
沢木くんの優しさに触れるたび、どんどん好きになっていく自分がいる。
沢木くんはそう言って、私が両手で大事そうに抱えている紙袋を差した。
……うそみたい。
夢で見た、沢木くんとのデートが実現しちゃうのっ!?
早く家に帰って、了に自慢してやろうっと!
……うそみたい。
夢で見た、沢木くんとのデートが実現しちゃうのっ!?
早く家に帰って、了に自慢してやろうっと!
急に立ち止まり、真剣な表情を見せる沢木くん。
目をぱちくりして、次の言葉を待つ。
目をぱちくりして、次の言葉を待つ。
それって…………、
つまり、そういうことだよね?
ザァ────ッ。
さっきよりも雨足が強くなるなか、私たちのまわりだけ雨音が消えたかのように静まり返った。
さっきよりも雨足が強くなるなか、私たちのまわりだけ雨音が消えたかのように静まり返った。
私は頬を赤らめながらコクリとうなずくと、雨が降る街中で、まるで映画のワンシーンのように、沢木くんの顔が近づいてきた。
次の瞬間なにが起きるのか、私は胸を弾ませながらゆっくりと目を閉じた。
ピシャ、ピシャッ!
恥ずかしさと緊張が入り交じるなか、水の跳ねる音が耳に入ってくる。慌ただしく、それは次第にゆっくりと、私と沢木くんの前でピシャリと止まった。
了の声を聞いた途端、現実に引き戻されるかのように、唇が遠のいていった。
目の前に、息を切らした了が視界に入る。
目の前に、息を切らした了が視界に入る。
了はそう言って、私たちの前を横切る。
足早に去っていく了の背中を追いながら、傘をさしているもう片方の手に未使用の傘を持っていることに気づいた。
まさか……!
人込みのなかに消えていく了の後ろ姿を追いながら、伸ばしかけた手をたらんと下ろし、拳 に力を込めた。
────了のバカっ!
素直に“迎えに来た”って言いなさいよっ!!!