第6話 神がデザインした現象 異聞

文字数 1,696文字

神がデザインした現象の中に出てきた、鷹島という地名を知っている人は、居ないだろうか?
歴史に詳しい人なら、日本史の中でもエポックメーキングな島として登場する重要な島であることを思い出すかもしれない。

長崎県の北西にある島で伊万里湾の外側すぐに玄界灘につながるところにある小さな島である。
小さな島といっても2000人以上が住む島で、島内にバス路線まである。
近年佐賀県側の唐津市肥前町から橋がかけられて陸路で行けるようになった。

この島が歴史の舞台になったのは、1281年の元寇 弘安の役の主戦場だったことによる。
元が2回目の日本占領のために襲来した時の蒙古軍と高麗軍の船が上陸して陣を築いたのが、この鷹島である。
元の軍が島に上陸した時に島民たちは、島の頂上に逃げて隠れた。
最初は、島民たちが近くの島や陸伝いの九州本土に逃げて居なくなったと思った元軍であったが、朝になって島民たちが一緒に連れて逃げていた鶏が鳴いたために、発見することができた。
発見された島民たちは、わずかばかりを残してほとんど捕虜となり、惨殺された。
それから700年以上を経た今でも、この島では、鶏を飼っては、いけないとされていて、その伝統が守られている。

そして、一番有名なエピソードは、何といっても神風だろう。
暴風雨が、一夜のうちに元の船をことごとく強風で破壊して戦を日本の勝利に結びついたというあの話である。

最近、「元寇のときに、神風は吹かなかった。のちの時代に神国日本という政治上都合の良い論を成立させるために権力者たちがでっちあげたフェィクである。何故ならば、台風の季節ではない時に、そんな都合の良い風が吹くわけがない」と、いう論拠である。

しかし、私の体験である、神のデザインした現象を読んだ人には、もう理解できたと思うが、私が遭遇した突発性低気圧(または、爆弾低気圧)は、季節に関係なく東シナ海で発生してあのような猛威を振るう嵐だ。
元の軍船が神風に遭って沈没した海がまさしく私が嵐にあって遭難一歩手前まで暴風雨に晒された海のその場所である。
その証拠に、私が避難した湾のその下の海底から今でも元の船の遺物が出て来る。
九州大学や琉球大学の考古学部が今でもその海域から遺物の発掘を行っており、海洋考古学というジャンルで華々しい成果を上げている。
海の中なのに歴史遺産として登録されているくらいである。

このように海という場所は、人間の常識や想像を超えた現象を見せる時がある。
世界的な不思議現象が現れる場所として有名なアメリカフロリダ沖のバミューダトライアングルという海域は、UFOや宇宙人の仕業で行方不明になる飛行機や船などが有名だが、実際はこのような突発性低気圧の大型のものであるという説が有力だ。
アメリカでは、このハリケーンとは別の突発性低気圧をホワイトストームと呼んでいる。

話を鷹島に戻すと、鶏の話だけではなく、元寇の時の歴史遺構にちなんだ碑や地名などが島のいたるところにある。
また、島全体がパワースポットでもある。
ひょっとすると、そのパワースポットの霊力が、日本を他国からの侵略から守ってくれたかもしれないというのは、少し我が身贔屓かもしれないけど。

その歴史に色彩られた由緒ある鷹島もご多分に漏れず、過疎化が進み人口減少が進んでいるといわれている。
そして、鷹島だけでなく周辺の小さな離島は、過疎化からさらに無人島化にまで行きついた島があるとのこと。
この辺の島々は、釣り人には、最高のスポットでもあるので、日本で一番魚の美味いところだ。
離島、無人島クルージングなどは、最高に贅沢で最高に心を洗濯できる観光旅行になること請け合いだ。
その時、元寇の歴史物語と、この自然現象の話をお供に素晴らしい旅行を楽しんでいただきたいと思う。

スピリチュアルからは、かなり外れた文になったけど、本来のスピリチュアルなものに興味がある人は、この鷹島の村々の名称には、元寇の役の時の住民の禍々しいエピソードを今に伝える恐ろしい地名が残っているのでそれを探索するのも一興だ。
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