第28話

文字数 7,824文字

 目の前の姿見に映った壊れかけの人形。男は椅子に座っているのが自分であることを確認する。両手両足、胴体を拘束具で縛られ、頭に工事現場のヘルメットのようなものを被らされている。傍らに制御盤らしき大型の機械が置いてあり、ヘルメットから伸びているアダプターと接続されている。頭上にぶら下がっている電球は半径二メートルの世界を照らしている。あとはどこまで伸びているかわからない暗闇があるだけ。
 男が姿見に映った自分の姿を見て、これからなにが行われようとしているのか、すぐに理解したのは、以前、なんとなく検索したことがあったからだ。頭に浮かんだ、電気椅子という言葉。そして、電気椅子は死刑執行の道具だということ。
 「このダイアルを右に回していくと、だんだんと出力が上がっていくのよ」
 機械の側の陰から手がフェードインし、緩やかな動作で、機械に備わっているダイアルを回していく。見覚えのあるくらいにありすぎる美しき暗殺者の手。
 「なぜ、橋に来なかったんだ」
 「ここは、町に馴染めない爪弾き者たちのVIPルーム」
 「応えろよ! ぼくはずっと待っていたんだ。自分の手を汚しちまうはめになってまでね」
 ダイアルが回されるにつれ、機械の目盛りが上昇していく。頭にセメントを流しこまれているような重量感に、男の顔面は青くなっていく。
 「この機械からは超音波が流されていて、脳みそをスクラップにしていくの」
 「やめてくれよ。姿を見せてくれよ」
 上昇していく目盛り。男は膝を縦に揺らしはじめた。
 「脳みそがスクラップになるとね、廃人になってしまうのよ」
 「なあ、頼むよ。きみとぼくの仲じゃないか……」
 両手で掴まれた頭を、左右に軽く揺さぶられるのに似た振動。
 「老人たちは野蛮な行為が嫌いみたい。廃人にするとね、森で放し飼いするの」
 「森? 放し飼い? いや、そんなことより……」
 機械の目盛りはとっくに限界に達している。それは男がスクラップになることを意味していた。男は女の存在を忘れ、やたらめったに叫び、椅子に縛られていることも忘れ、ちからの限り暴れた。だが、残されているちからが残り粕程度だったので、椅子ごと暴れるような現象は起きなかった。一分もしないうちに疲れ果て、男は椅子の飾り物になってしまう。
 ……。
 はてな、と思ったのはその数秒後だ。ぼんやりと思考している自分に気がつき、正常であるらしいことがわかる。無事を確認するように、姿見に映った自分を眺めていた。いっしょに映っている女の姿は、男の頭からヘルメットを脱がせている。それから包み込む動作で、背後から腕をまわし、手にしている鍵で縛っている拘束具を、左、右、と順に解いた。そのまましゃがみこみながら、胴体を。最後に両足。
 男はなんだか意味もわからず、姿見ごしに女を見つめる。立ち上がろうにも、立ち上がれないのは、女が両肩を抑えていたからというのではなく、やさしく触れる両手の温度をしばらく感じていたいからだ。ふり返らなかったのは、姿見の男と女がウエディングフォトのように微笑ましく映っていたからだ。
 「デモンストレーションは終わり。対象を怖がらせるためだけの設定よ。自分の運命を受け入れる時間を作っておいて、その後で本番に望ませるわけ。けっこう、慈善的な機械よね」
 「それで……これはどういう意味なんだい」
 男は拘束具の解かれた手を自在にふって見せた。
 「そのまんまの意味よ」
 「安心させてから、ずどんとやる気なんだろ、どうせ」
 「裏切り者の刻印を押されるの慣れているから」
 傷つけてしまっただろうかと、男は女の顔色をうかがった。だけど、すぐに頭のなかで被りをふり、自分を戒めた。
 「この町はね、監視カメラだらけなのよ。ネットにつながるための基地局もあちこちにあるわ。限られた人間しかアクセスできないけどね、安心して、この部屋は倫理的な観点から、第三者の目には届かないようになっているから」
 そう言われたが、半径二メートル以外の世界は闇の他なにも見えないのだ。男は半信半疑を拭えなかった。
 「そんな見てわかりそうなものがなぜばれてないんだよ」
 「町に溶け込んでいるから誰にもわかりっこない。電信柱、カフェのテーブル、郵便ポスト。あなたが乗っていた自動運動車にだって。鳥かごから羽ばたこうとするとね、猫にぱくっとされちゃうしかないの」
 その事実は、もはや男を驚かせることはなかった。それでも、氷かかった信頼が融解していく。
 「サニーには教えてやらなかったのか。彼は本気で船出の準備をしていたんだ。ぼくのために危ない橋を渡ってまで」
 「サニー? 船出……ああ、勃起中毒の彼か」
 「むかしの船員仲間、なんだろ」
 「旅行前のわくわくを邪魔したら悪いじゃない。それにあなただって、束の間のピクニック気分を味わえたでしょ」
 「大雨のピクニックで、ずぶ濡れだったけどね」
 女は男の両肩から手を離し、目を伏せた。手の温もりが離れてしまうと、男は少し残念がった。
 「むかし、三人でね。外界へ逃げられたら、なにをしたいかなんて話しあったことがあるの。あのときは、楽しかったな。未来、っていうのかな。そういうの夢みれたんだもの。あなたのいう、サニーはね、この町を小説にしてやるってはしゃいでいて、もうひとり携帯電話会社の営業マンがいたんだけど、彼はどこでだって携帯電話が使えるように、世界中に基地局を建ててやるんだって勢いこんでたな。あなたね、そのひとに似ているのよ」
 「サニーにも同じこと、言われたよ」
 融解の速度が落ちる。
 「あたしね、この手でスクラップにしちゃったんだ、そのひとを」
 「スクラップって……この椅子で?」
 女はむかしを懐かしむように、椅子の縁を指でなぞっていく。
 「そう、あなたが座っているこの椅子。意固地がそのまま精神力になったようなひとだったな。廃人になるのに五分三十六秒もかかったのよ。この記録は未だに破られていない」
 「仲間、だったんだろ。罪悪感は……ないのかい」
 「男っていつもそう。少し聞いたくらいでわかった気になって、すぐに自分の正義を押しつけてくる。条件反射なのかしら……まるで、犬ね」
 「いや、そういうつもりじゃ……」
 男はばつが悪そうに目を逸らした。
 「あたし、好きだったのよ。叶いっこないのに、馬鹿みたいに基地局だ、基地局だって、同じことばかり話して笑わせてくれた。この町には基地局なんてそもそも必要ないことも知らずにね」
 「それを、なぜ……」
 「老人にぜんぶばれてた。交渉相手に選ばれたのよ、あたし。サニーはなにも知らない。生贄を捧げれば、見逃してやるって。船長さえさし出せば、許してやるって。船出なんて失敗するに決まってるじゃない。成功する保証なんて、どこにもなかったもの。怖かったのよ。希望に飛び込んで人間のまま死ねたら楽だったろうけど、絶望を突きつけられて自覚のないまま死んだように生きるって、もっと怖いと思ったんだ」
 「いまは生きたくて、生きているっていうのかい」
 男は逸らしていた目を女のほうへ向け、遠慮がちに言った。
 「結果でしか判断できないなら、どんな理想も語れてしまうよね」
 女のビー玉のような瞳は、未来でも、過去でも、現在でもなく、どこかもわからない虚空を見ているだけだった。
 「あなたを外界へ逃すことはできないけど、せめて、監視対象から外すことくらいはします」
 「罪滅ぼしのつもり、なんだな。ぼくをもういない彼に見立てての」
 返答はなかった、無言がそのまま、女の答えのようでもあった。
 「あなたがこれからいくところは、廃人たちが棄てられる場所……遺棄場。そこにいるのは、廃人ばかり。だから、もう、誰も気にかけないのよ」
 女はいつの間にか、注射器を握っていた。
 「遺棄場か、そりゃ、洒落た名前だ」
 「おしゃべりはおしまい。また、眠ってもらうわ。今度、目覚めたとき、あなたは晴れて廃人の仲間入り」
 注射針が男に近づく。
 「もう、会えないのかい」
 「会ったって、警棒にぶたれるだけよ」
 「やめろよ、わざと突き放すような言い方するの」
 首筋に貼りついてた注射針が、微かに動いた。
 「最後に……最後か。さみしい言葉だな……ひとつだけ。きみは外界へ出られたとして、なにがしたかったんだい」
 「もう、忘れちゃった。思い出しても、意味なんてないもの」
 注射針が刺され、男の意識が遠のいていく。女の静かな微笑みに見守られながら、深海へ沈んでいくように……

 16

 冷たい夕焼け色が、視界をよぎり、男は目を覚ました。何十時間にも感じられる夜と何十時間にも感じられる朝を経て、ようやく熟睡できたらしく、男は悪霊にとり憑かれていたような自分ではどうしようにもできない疲労感から解放されたといった感じに、目覚めのあくびをした。
 瞼を開けると、なにかのなかに入っているというのが肌感覚でわかったのは、半開きになった扉のおかげで、夕日がさし込んできているからだ。
 半開きの縁に手を添え、鉄の重さのあるその扉をちから任せにずらしていくと、鉄が鉄を引っ張るようなぎこちない金属音が鳴り続けた。扉を開けた先には、夜に染まろうとしている半病人みたいな紫色の夕日の名残が空にある。そこが外だという事実は、男を喜ばせた。
 身体が痛かったのは、扉の内側で山なりになって眠っていたからであり、どうせならこのズボンも脱がせるくらいのことはしてほしかったなと思いながら、身体をいたわるそぶりをし、男は上半身だけ起き上がらせた。
 茂った木々と、いつか見た、橋の向こう側で彩られていた唯一の色とが、この瞬間、同一のものとして男の脳裏で重なった。
 男は扉の内側から出て、それが棺であることを知った。そして、その周囲にも、夕闇の底でうずくまるように積み重ねられた棺の山が方々にあり、女の言っていた、遺棄場であるらしいことを理解する。理解し、あの超音波装置で、頭をぐちゃぐちゃにされた廃人たちが、棺から這い出てきたのかと思うと、せっかく軽くなった身体に、また悪霊が再臨しそうで、男は一刻もはやく、棺の見えない場所へ逃げてしまいたかった。
 そのとき、木々の後ろで影がひとつ、向こう側へ走り去っていくのが見え、男は凍りついたような面持ちで、その先を凝視する。
 ……小型の動物にしては大きすぎる、大型の動物なら熊だろうか、いや、肉食獣なら、ぼくはすでに屍肉となって、鼻先で突つかれていてもおかしくはない状況なのだ。すると、人間……遺棄場には、誰もよりつかないのではないか。例の廃人だろうか。それにしても、棺はどうやって、ここに運ばれたのか……そんなことは、いまはどうでもいいか……
 男は今度こそ、戦々恐々としながらも、棺を出ると、思案顔に辺りを見渡し、しだいに、捨てられた小猫みたいに途方に暮れてしまった。にゃあ、にゃあ、愛くるしい声で鳴いたとしても、心やさしい通りすがりの人間が両手で抱っこしてくれるなんてことは、キュビスム的な面をした三十路を超える男には期待できそうになかった。
 男は先ほどの人影を追うことにした。走り去っていけるだけの瞬発力があるのなら、それに見あった体力も備わっているということ。体力を消耗できるだけの満腹度があるに違いないと、推測してのことだった。
 木々のなかを進んでいくと、またしても影が走り去っていく。しかも、男があと一歩、踏み出していれば、衝突は免れなかったであろうほどの距離で目の前をだ。さっき見たのと同じ影だろうかと、男はその場で立ち止まり、ことのなりゆきを見守った。数分もしないうちに、土を蹴りあげる音が木々の向こうから、しだいに脈動する激しさで迫ってくる。
 男は身構えた、というよりは、どう対処すればいいのか判断できずにいた。足音のするほうへ顔を向け、つっ立ているだけだった。拳も、警棒も、痛みを予測できたからこそ、甘んじて受けられたが、ただ迫ってくるものに対しては、対象物ですらなく、巻き込まれるだけの透明の通行人でしかないのだ。
 男がそんな無駄なことばかり考えているうちに、影が木々の隅々から漏れる夕日に照らされ、正体を現していた。それが人間であることを見てとり、男は静止を呼びかけようとしたが、すでに遅かった。ふたりは車に跳ねられでもした衝撃で、視界がぶれ、互いに後ろへ弾き飛び、地面にスタンプをついていた。
 蜃気楼を描く視界が正気を取り戻すまでに数秒かかり、男はどうにか相手を正視すると、それが、警備員でないことを確かめ、まずは安堵し、それから、見た目は自分と同じ格好をしていることから、町の住人ではあるらしいと思った。ただ、町の住人と仲良くなった試しがほとんどないので、それが何者であろうが、警戒心を解いていいはずはなかった。未開の人類をあやすしぐさで、目の笑っていない微笑みを浮かべながら、徐々に立ち上がる。
 相手はうなだれたまま、急な勢いで男よりもはやく立ち上がり、直立不動になると、その顔をはっきりさせた。男。生気のない人工的な瞳は、女のビー玉のような瞳に似ているところがある。衝突したとき、あたりどころが悪かったのだろう、鼻血を際限なく垂れ流し、貧血で倒れてはしまわないだろうかと心配させた。
 男はへっぴりごしのまま、男を刺激しないように、姿勢を正していき、ようやく視線と視線を垂直に交わらせた。
 「遅刻しちゃう、遅刻しちゃう、クビだ、クビだ」
 男は突然、落ち着きなくぶつぶつ言うと、男がそこにいるのもかまわずに、ふたたび走りだした。男は急いで横へ退き、走る男に道を譲った。地面を濡らしていきながら、木々の向こうへと血痕の道しるべを描いていく。遅刻しちゃう、遅刻しちゃう、クビだ、クビだ、というつぶやきとも呼べない声が、しばらく聞こえ、しだいに消えていった。延々に繰り返されているであろう狂走をあとにし、男はまた途方に暮れてしまった。
 木々のなかを歩いていくしかない。日も暮れ、あたりは暗い。雨の降っていないこと、道が平坦であること、いき先もわからない森のなかでは、救いであった。その救いだけに活路を期待し、進んでいく。
 すると、いきなり夕日が沈みきってしまったような暗闇に森が閉じ込められてしまう。木々と木々にできた隙間からのぞく、斜め四十五度の視界に入っていた夜の曇り空が遮蔽物で遮られてしまったのだ。
 先に進むべきかと、男は戸惑い、足を止めてしまったが、目をよく凝らせば、そのでこぼことした遮蔽物が町の遠くからいつもちらついていた岩壁だとわかる。
 男は岩壁へ向かって進むべきだと思った。反対方向へ進めば、いずれ町にもどってしまうかもしれない。そうなれば、待っているのは飢えた豚の顔なのだ。
 進行方向の定まった足取りは、いつ以来かの自信に満ちたちから強いものだった。進み、進み、進んだ。そこに確かな目的がある。いまの自分ならMや熊さん、老人たちや警備員、女にだって堂々と向きあえるのだ。
 木々を抜け、森の暗さから脱すると、吹けば消えてしまいそうなほどの小さな電灯がいくつか、目に入ってくる。プレハブとも小屋ともいえない、球体の建物だった。所々にあり、人影を認識させるくらいの明るさはある。ここが森の集落らしい。誰も男のことなど気にしていない。さして来訪者は珍しくないのだろう。来訪者であるのと同時に、永住者なのだから、知り急ぐ必要がないとでも思われているのかもしれない。
 集落へ足を踏み入れ、辺りを見渡しながら歩いていると、通行人が横を通ったとき、すれ違いざまに肩がぶつかってしまう。
 「すみません……」
 男は軽く会釈したが、相手はなにも言わずにいってしまった。
 「態度の悪いやつ」
 すると、また反対方向からもぶつかる者がいた。立て続けに起きたことで、男は反射的に軽く舌打ちを鳴らしてしまい、睨みをきかせながら、相手のほうへふり返った。しかし、その通行人もまた、そのまま歩き去っていく。
 「なんなんだ、ここの連中は」
 ぷりぷりしながら相手の後ろ姿を睨んだままでいると、また横から突進してくる者がいたので、男は慌てて避けた。やはり、無言のまま通り去ってしまう。
 男は新天地に拒まれているのかしらと、自分が悪くもない屈辱感を味わい、これからの生活に対して、暗澹たる気持ちになってしまう。それにしても、不注意なだけなのか、相手の存在感のなさなのか、男は不審そうに首を傾けた。
 さて、ここからどうすればいいのかと、視線を正面へもどしたとき、鼻先と鼻先が接触寸前の距離にひとがいたので、男はまた慌てて後ろへ退き、やはり、通りすがりとぶつかってしまうのだった。集落民の習性かと、とうとう呆れてしまい、男も沈黙するようになってしまう。
 「こ、こ、ここの住人た、たちは……」
 正面に立っていた男が唐突に話しはじめたので、その相手が自分であるらしいと、強張っていた顔を崩さずに男は、はい、と反射的に返事した。
 「し、知ってのとおり、の、の、の、脳みそをスクラップにさささ、された廃人たちの集まり、でで、で、ござ、ございます」
 七三分けの神経質そうな細面の男だった。吃りが激しく、耳をすまさないと、うまく聞き取れないので、意識が散漫になり、聞いているあいだじゅう、通行人たちがぶつかっていくのを我慢しなければならなかった。
 「せ、生前の、あ……廃人に、ななな、なったら、屍も同然な、なので、生前と説明し、して、お、おりますですすす。せせせ、生前のき、記憶を頼りに、た、ただ生きているだけなので、で、ございます。衣食住のき、決まりりり、勤務場所へ赴くき、決まり、二十四時間活動し、ししし、なければならない、きき、決まり。だ、だから、各自の、も、求める時計回りに、あ、歩き続けているので、ご、ごごございます」
 「あなたはそんなふう(異常に特徴的ではあるが。廃人特有の言動なのか。先ほど森で出会った男にも似た症状が見られた)には見えませんが」
 「で、でですから、生前の、き、記憶を頼りに、生きて、お、おるのです、はいはい。わ、わたしは、むかし、なにかのあああ、案内係、だだだ、だったようでして、ここ、うして、いいい、遺棄場へ来た新顔に、には、親切に案内を、を、しているのでございます。ふ、ふだんは、他の連中と同じくく、時計回りに生きて、生きて、おりますです」
 「それなら都合がいい。ぼくもここで暮らすはめになってしまいました。どうすればいいのでしょうか」
 「あ、あなた、さま、の、住居を、たて、建てま、すすすので、それまでは、わ、わたくしの、住居で、お過ごしくださいいい」
 「建てるって……そんなすぐできるものなんですか」
 「す、3Dプリンターで、じゅ、住居の材料を半日ほどかかけけてて作成します。あ、あとは、それを、それを、組み立てていくだけで、で、ございます。生前、だ、大工だった、も者もおります、ゆ、ゆえ。あなたさまの見ている、球体の建物が、が、そそ、の完成品で、ございますです」
 なるほど、言われてみれば、家に見えないこともないと、男は一応、頷き、とりあえず住居の確保ができたことで、途方に暮れていたあてのない不安症を落ち着かせることができた。案内係に促されるまま、住居へついてくのだった。
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