第10話

文字数 688文字

『人はパンのみにていくるには非ず』

イエス・キリストの言葉とされている。

この言葉は、宗教というものの本質を、良く表した言葉かもしれない。


生き物は機械と同じく、エネルギーで動く。食事は、この生物学的、物理学的、化学的エネルギーを体に供給してやるために必要な行為である。(ATP、解糖系、ケトン体、ブドウ糖・・・)

しかし、科学が詳細に解明したこの科学的なエネルギーをもってして、『にんげんのエネルギィ』のすべてであると言い切ることはできない。

生物が十全に生きていると感じるためには、『パンのみ』以外にも、何か他の要素が必須なのである。

『君はものを食いはするが、生きてはいない』という、バーナード・ショーの劇の中の言葉を、コリン・ウィルソンの引用で読んだことがある。

同じ事だ。生きてはいないのだ。ただ単にものを食うだけでは、生きれやしないのだ!!

だが、ここまで熱く語っておいてなんだが、生とは、そんなに大したものでもないのかもしれない。そこまで熱くなって生きている人が、この世の中にどれだけいるという事か。生は贈り物なのだ。死が訪れたら否応なくお返しするだけの。

レンタル品である。

それでもきっと、もっとも平凡な人間たちでさえ、「ただものを食う」という生存を、きっぱりとして跳ね除けることがある。『何か』をみんな本能的に知っているのだ。パン以外の何かを。

そこに宗教誕生の秘密があったのだとボクは思う。と言って、断食してミイラになったりなどしないのでご心配なく。(誰もそんな心配しねー)

教祖になりたいという野望がこれっぽっちもあるわけではないのでご心配なく。(こっちはちょっつ怪しいかw)
ワンクリックで応援できます。
(ログインが必要です)

登場人物紹介

登場人物はありません

ビューワー設定

文字サイズ
  • 特大
背景色
  • 生成り
  • 水色
フォント
  • 明朝
  • ゴシック
組み方向
  • 横組み
  • 縦組み