第2章 第7話
文字数 1,164文字
「俺、クイー、えっと、光子さんと中学一緒だったんだけど、その頃は話したことなくって。中学の途中から、そのー、凄い有名になっちゃって… ゴメンな、何言ってるか分かんないよな?」
ところが彼は目をキラキラさせながら、
「『西中のクイーン』、ですよね。中一の時に生活指導の先生に暴行して警察に連行されて、あと駅前のもう無くなっちゃったスーパーで万引きの疑いをかけられた友人の復讐のため店に放火して、それと東中の三年生の女番長と対決して病院送りにして」
「… 凄いな… そんなんだったっけ…」
思わずゴクリと唾を飲み込む。そんな危険な女に俺はゲ◯をぶちまけてしまったのか…
「ははは。で、金光さんが『西中のキング』。ですよね?」
頭を棍棒で殴られた感だ。やめてくれ… 思い出したくない黒歴史…
「えーーー何それ、だっさー」
案の定、葵が潰れたゴキブリを眺める視線で俺を見下ろす。
すると彼は突如大声で、
「それはない! ダサいなんてとんでもない! 凄い人だったんだよ、葵ちゃんのお父さんは」
葵がやや引き気味になる程真剣な眼差しで、彼は語り出す。
「一年から三年まで学年テスト断トツ一位。廃部寸前のバスケ部を鍛え直して二年生ながらキャプテン、三年では都大会ベスト8。生徒会会長として当時の区立中学では画期的な冷水機を各階に設置。地域一の荒れた学校が三年時には地元警察から感謝状が届き、卒業式では先生生徒が抱き合って泣いたって。未だに地元で語り継がれてる伝説のキング、それがキミのお父さんなんだよ」
彼が切れ長の目を怒らせながら、葵に浴びせかける。
「「…… そ、そうなんだ…」」
俺と葵が、ドン引きながらハモる。
「翔くんだって凄いんだよっ、パパ!」
彼の話を一ミリも信じていない目つきで俺に言うので、
「あ、ああ知ってる。最初見たときは高校生かと思ったよ」
「違くて。翔くんの学校どこか知ってる?」
確かクイーンが、私立の男子校って言ってた気がする。
「あのねー、なんとあの、開聖中なんだよ!」
……
は……ぁ?
いやいや。開聖って… 東大合格者数、連続日本一の超名門… はあ?
「お恥ずかしい。僕なんかまだまだですよ」
俺はマジマジと彼を睨み、いや見つめながら、
「だって… 翔くん、キミ、あの、クイーンの… ええええ?」
「祖母は、まあ、中卒なんですが… はい…」
何故かお袋が大爆笑している。トンビが鷹を生むレベルではない。トンビが龍神王を生むレベルである。あの女の遺伝子のことだ、突然変異を万か億ほど繰り返したに違いない。若しくは彼の母親は実の子でなく… あ、きっとそれだ。それに違いない。
だが冷静に考えて、これで納得できる。普通の中学生なら老人が倒れたときどうするだろうか。きっと青ざめて何も出来ないか逃げるだろう。でも、あの天下の開聖生なら。
ところが彼は目をキラキラさせながら、
「『西中のクイーン』、ですよね。中一の時に生活指導の先生に暴行して警察に連行されて、あと駅前のもう無くなっちゃったスーパーで万引きの疑いをかけられた友人の復讐のため店に放火して、それと東中の三年生の女番長と対決して病院送りにして」
「… 凄いな… そんなんだったっけ…」
思わずゴクリと唾を飲み込む。そんな危険な女に俺はゲ◯をぶちまけてしまったのか…
「ははは。で、金光さんが『西中のキング』。ですよね?」
頭を棍棒で殴られた感だ。やめてくれ… 思い出したくない黒歴史…
「えーーー何それ、だっさー」
案の定、葵が潰れたゴキブリを眺める視線で俺を見下ろす。
すると彼は突如大声で、
「それはない! ダサいなんてとんでもない! 凄い人だったんだよ、葵ちゃんのお父さんは」
葵がやや引き気味になる程真剣な眼差しで、彼は語り出す。
「一年から三年まで学年テスト断トツ一位。廃部寸前のバスケ部を鍛え直して二年生ながらキャプテン、三年では都大会ベスト8。生徒会会長として当時の区立中学では画期的な冷水機を各階に設置。地域一の荒れた学校が三年時には地元警察から感謝状が届き、卒業式では先生生徒が抱き合って泣いたって。未だに地元で語り継がれてる伝説のキング、それがキミのお父さんなんだよ」
彼が切れ長の目を怒らせながら、葵に浴びせかける。
「「…… そ、そうなんだ…」」
俺と葵が、ドン引きながらハモる。
「翔くんだって凄いんだよっ、パパ!」
彼の話を一ミリも信じていない目つきで俺に言うので、
「あ、ああ知ってる。最初見たときは高校生かと思ったよ」
「違くて。翔くんの学校どこか知ってる?」
確かクイーンが、私立の男子校って言ってた気がする。
「あのねー、なんとあの、開聖中なんだよ!」
……
は……ぁ?
いやいや。開聖って… 東大合格者数、連続日本一の超名門… はあ?
「お恥ずかしい。僕なんかまだまだですよ」
俺はマジマジと彼を睨み、いや見つめながら、
「だって… 翔くん、キミ、あの、クイーンの… ええええ?」
「祖母は、まあ、中卒なんですが… はい…」
何故かお袋が大爆笑している。トンビが鷹を生むレベルではない。トンビが龍神王を生むレベルである。あの女の遺伝子のことだ、突然変異を万か億ほど繰り返したに違いない。若しくは彼の母親は実の子でなく… あ、きっとそれだ。それに違いない。
だが冷静に考えて、これで納得できる。普通の中学生なら老人が倒れたときどうするだろうか。きっと青ざめて何も出来ないか逃げるだろう。でも、あの天下の開聖生なら。