1日目―2

文字数 913文字

 所変わってここは達海の部屋、細かい違いはあれどインテリアも僕の部屋とそこまで変わらないみたいだ。違いと言えば小説などの書籍が少なく代わりに漫画が多いことと、ラルクのCDが何枚かしかないのに対してGLAYのCDはきっちり揃えているところぐらいだ。などと部屋を眺めていると外から両親が誰かと言い争う声が聞こえてきた。誰かって?そりゃまあ、君しかいないよな、達海。泣く泣く家を追い出された達海がこちらを見た気がした。すまないね達海、今から3日間、僕がこの世界の”広瀬達海”だ。

 夜、またしても外が騒がしくなってきた。どうやら達海が警察を連れてきたらしい。そして父さんが僕を呼んだ。
「おーい、達海ー、出て来ーい。」
 どうする?正直ここで出るのは少々まずい気もしたが、出ないと余計怪しまれそうだ。仕方ない、出るか。
「どうしたんだい?父さん、母さん。」
 僕が玄関に向かうと両親は事情を話し出した。なんでも変なやつが押しかけてきたんだとさ。当然警察がざわつき出した。そして父さんが警察に言った。
「見ての通り、ウチの息子、広瀬達海はここにいますよ?これでその少年のいたずらだと分かったでしょう。」
「た、確かに嘘はついていないみたいだ…妙にこの少年にそっくりだが…ところで、お宅の達海くんは双子だったりしますか?」
 年配の警官がそう聞くと父親は呆れたように応えた。
「双子なんていませんよ。そもそもウチの達海とその少年はちっとも似てないでしょう。」
 警官たちが驚いた様子を見せた。しまった!!警察には催眠をかけていないんだ!!早く催眠をかけないと!!僕はとっさに催眠装置を起動させた。一瞬青白い光が辺りを包む。そして先程の年配の警官が言った。
「ああ、確かに全然似てませんな。先程から重ね重ね失礼いたしました。」
 なんとか難を逃れた。そう言えば今さらだが達海自身を洗脳すれば良くないか?などと思った方もいられるだろう。だがどういうわけかこの装置は妨害装置を付けている人と異世界の同一人物までは洗脳できない。なんでも光の波長を自分に無害にする過程でどうしても異世界の同一人物までも効力を失うらしい。いずれにせよ達海は厄介な相手であることに違いない。
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