2日目―5

文字数 1,066文字

 コンビニに行くと随分と見慣れた顔と遭った。あの悪夢を見た後で遭いたくはなかったな。それはもちろん達海、この世界の僕だ。
「やあ、奇遇だね。」
「またお前か、この間はよくもやってくれたなあ!」
 達海は見るからに恨み骨髄と言った感じだ。そりゃそうか。
「まあそう怖い顔するなよ、僕もちょうど君と話がしたくてね。」
 まあ本当は偶然出くわしただけでそんな心づもりはなかったが、精一杯平然を装った。
「な、俺と話だと?」
「ここじゃなんだ、場所を移そうか。」

 僕らは人通りの少ない通りまできた。ここなら誰にも会話が聞かれないだろう
「なあ、何で俺をころ…」
 達海が何か言いたげだったが、それを遮って僕は謝罪した。
「本当にすまなかった!!
「な、急にどうしたんだお前…」
 達海は呆気に取られている。僕は頭を下げたまま続けた。
「今日を含めてあと2日で良いんだ。あと2日だけは僕のことを見逃してくれないか?」
 勝手が良すぎる注文だとは百も承知だ。だが明日の夏希とのデートだけはさせてくれ。それが終わればもう君らに迷惑はかけない。
「と、取り敢えず事情を話せよ。」
 達海にそう促されたので僕は自分自身のことを包み隠さずに話すことにした。
「わかった、君には全て話すよ。まず僕はこことは違う世界の広瀬達海、つまり君自身だ。」

「事情はわかった。」
 僕が話し終えてから少しして達海が口を開いた。
「ほ、本当かい?さっきの話を信じてくれるのかい?」
「信じるも何も、実際俺にそっくりな、しかも物騒な道具を使えるやつが目の前にいるんだぜ?今ならhydeが本物の吸血鬼だとかデーモン閣下が本物の悪魔だとか言われても信じれるよ。」
「はははっ、こっちの世界でもそんな冗談があるんだね。ていうかそんな罰当たりなこと言ってると本当に蝋人形にされるかもよ?」
 達海も冗談を言うぐらいの余裕があるらしい。僕もすかさず冗談を返した。
「冗談はさておき、いくら別世界の俺だろうが夏希をくれてやる訳にはいかねえな。」
「た、頼む。もちろん君から間宮さんを本気で奪おうなんて思っていない。明日までで良いんだ。君なら当然知っていると思うが、明日は間宮さんと遊園地に行くことになっているんだ。それさえ済めばもう君に迷惑はかけない。もちろん全員の洗脳も解く。だから…せめて明日まで…」
 達海は少し間をおいてから口を開いた。
「よしわかった。明日まで、だぞ?」
「ほ、本当かい?ありがとう!この恩は一生忘れないよ!!
 まさか許可が下りるとは思っていなかったから本当に嬉しかった。すまない、そして本当にありがとう!!
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