3日目―2

文字数 1,052文字

 そんなこんなで別れのとき。
「お二人にはご迷惑をおかけした上に告白の背中まで推していただけるなんて、このご恩は一生忘れません。」
「私からもありがとうございます。」
「おう、達者でな。」
「タツミ、そっちのあたしを泣かせたら承知しないわよ。」
 とまあこんな感じで僕と達海の3日間に渡る戦いは幕を閉じた。僕らも無事元の世界に戻ってきたことだし、これで僕たちの元にも平和が…訪れませんでしたとさ。
「ところでタツミくん、向こうの私に変なことしてないよね?」
 ナツキが僕の目を見ながら問い詰めてくる。眼力だけなら向こうの夏希にも負けてない。
「ま、間宮さん、向こうの君とはやましいことはしてないよ。」
「やましいことって例えば?」
「強いていうなら…手は繋いだ、かな…ていうか間宮さんこそ向こうの僕と同衾していたらしいじゃないか?」
「あ、あれは、その…だって元はと言えばタツミくんが向こうの私と付き合おうなんてするから、私もやきもち焼いて、つい…それに、わ…」
「それに?」
「私もタツミくんと同衾とか恋人らしいことしてみたかったの!!それで、当たり前だけど向こうの達海くんもタツミくんに良く似ていたからつい…」
 ナツキは頬を赤らめていた。声の大小や高低の転調も随分と激しい。
「ご、ごめん、こんな女嫌だよね…」
「いいや、元はと言えば僕のせいだし、君の方こそ僕を許してくれるかい?」
 二人とも少し黙りこんだが、なんだかおかしくなって笑いあった。
「過去は過去、未来は未来で歩んでいこう。間宮さん。」
「その他人行儀な呼び方変えようよ。私達もう恋人同士なんだしさ。」
「じゃ、じゃあナツキ。」
「ん?なあに?タツミ?」
「その、いきなりなんだけどさ、今日は土曜だし、今からデートでも…」
「うん、良いねそれ!で、どこに行くの?」
「じゃ、じゃあ、博物館とかは…」
「うーん…初デートで博物館は…流石にどうかと思うよ?」
 意中の女の子をデートに誘おうとしているそこの君、博物館だけはやめておけ。僕の彼女(ガチ)もナシだと言っている。
「じゃ、じゃあ、月並みだけど遊園地とか?」
「うん、遊園地に行こ!!
「それで、その…手…繋いでも良いかな?」
「うん、良いよ!」
「ところでホラーとかは大丈夫?」
 気になったので一応聞いてみた。
「ホラーは苦手かな…」
「じゃあお化け屋敷とかは?」
「まあ、お化け屋敷ぐらいなら…」
 こっちのナツキはお化け屋敷ならOKみたいだ。僕らは手を繋いだまま遊園地に向かって歩き出した。今日は愛する彼女とのデート。最高の1日だ。

―fin―
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