第3話 教会って何なのさ?
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担任の榊原先生がホームルームを始め、意外にも普通に――中学校と同じような事が話される。
学生生活なんてあっと言う間だから悔いの内容に過ごしなさいとか、進学を考えている者は当然だけど、ちゃんと勉強しなさいとか。
で、その後だ。ホームルームもお終いという頃に、普通の学校では聞きそうに無い言葉を言い放つ。
教会かぁ。そういや、凛花が学校の敷地内に教会があるって言ってたっけ。
何だったかな、ゴシックとかルネサンスとか……うーん、まぁでも、教会の建築様式なんて言われても、正直分からないよね。
まだ入学直後だし、教会とか聖書だとかって話はこれから覚えれば良いかと思うんだけどさ。
ゲームやアニメなんかで、何となく教会の雰囲気は分かるけど、確かによく分からない。実際、今まで十五年間生きてきた中で、一度も入った事がないしね。
いつからそこに居たのか、突然すぐ後ろから愛ちゃんが声を掛けて来た。
まだ怒っているのか、若干顔が紅く染まって居る様な気もするけど。
いくら神様の心が広いと言っても、流石に宗教が違うとダメなんじゃないかな? 神社だと二礼二拍一礼が作法だけど、教会ではまた作法が違うだろうし。
おぉっ。あの鈴木君が教会に興味を持った!
まぁ、実は僕も聖堂と教会の違いなんて分からないんだけどさ。
愛ちゃんが指し示した方には、白い壁で清潔感のある、いかにも教会といった見た目の建物がある。
高等部と中等部の校舎の間にある大きな教会の前で、愛ちゃんの叫び声が響いたのだった。