第6話 教会の中
文字数 1,332文字
教会の扉の先には再び大きな扉があり、その先へ進むともの凄く広い――奥行きがあり、天井の高い部屋が現れた。
真ん中の通路を境目に、八人くらい座れそうな長い椅子が左右に置かれ、それがずっと奥まで続いている。もしかして、二百人くらいは優に座れるのでは無いだろうか。
左右の壁には大きなステンドグラスがあり、青や黄色のガラスが不思議な模様を描いている。
そして部屋の一番奥にはまた誰かの像が置かれており、その壁には十字架にかけられたイエス像が掛けられていた。
昨日の入学式は普通に体育館だったけど、ここは如何にも特別な場所という感じがする。
確か、イタリアの修道院の壁に描かれたんだっけ? モナ・リザと並ぶ、凄い絵画だとか何とか。
そう言えば、凛花が日曜日にいつも学校でイベントやってるって言ってたっけ。と言っても、凛花が参加してた様子は無いけど。
あ、そうや。さっき言ってた聖堂やけど、今ウチらが居る、教会の中で中心となる儀式を行う場所の事を言うねん。で、カトリックはそうやねんけど、プロテスタントでは聖堂って言うんじゃなくて、礼拝堂って言葉を使うねん
僕の右隣へ座った愛ちゃんから色々教えて貰っていると、一番奥にある少し段のある所へ、いかにも神父ですという服装の男性が立つ。
流石に愛ちゃんも口を閉じ、神父さんの話に耳を傾けているので、僕もそれに倣うことにする。
……
うん。とりあえず、あんまり難しく考えなくて良いよ……と言っているんだろうなと解釈した。これが正しいかどうかはわからないけど。
あれ? そう言えば、ずっと愛ちゃんと話し込んでしまっていたけれど、鈴木君は大丈夫だろうか? ここに着席してから随分静か……というか、静かすぎるけど。
僕の左側へ座る鈴木君に視線を移してみると、
寝てるーっ!
僕は小声で鈴木君に声を掛けながら体を揺すり、何とか榊原先生に見つかる前に、起こす事が出来たのだった。
……見つかってないよね?