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文字数 739文字

 すると船長はニヤリと笑い。

「動くなよ」

と奥さんを拘束していた左腕を離すと。
ポケットをまさぐり、小さな送信器を掲げた。

「起爆スイッチだ。端なっから、あんたらが止めると思っていたからな」

とニヤニヤして奥さんを邪魔だと思ったのか、俺達に突き飛ばして追いやった。
 あらら、人質を開放した。素人だわぁ〜。
と、俺は倒れそうになる彼女を受け止め助けると、

「無駄だよ。送信機の中継器は全て外した。
船倉まで電波は届かない」

と言うと。

「あはは、それも想定済みだ。
この船には、伝導管がある。そこに中継器を付けた。だから外せないし、スイッチを押して投げ込めば、確実に起爆する」

「嘘つけ。お前さん、爆破するのは逃げてからだろう?最初から、そのつもりだったろう。
何でこんな真似をした?」

 すると船長、見る見る顔色が変わって。

「爆弾をくれたテロリストに金を払わなければならないのでな。死ぬ訳にはいかないのだよ。これは復讐だ、俺を捨てたお前へのな!」

と、元奥さんを睨んだ。俺は、

「それも嘘だな。お前さん金目当てだろう。
爆弾があると言えば客は逃げるからな。
10ノットはヘリコプターが着船出来る、
ギリギリの速度だ。
この船、20ノット出るんだろう。
本当なら、その速度に機械を設定するだろう。
それに、スタッフリーダーから聞いたが。
この船で宝石の展示会があるそうじゃないか。
既に積んであって、そいつが狙いなんだろう?
テロリストと手を組んだな」

と言った。すると船長、

「あははは!何が悪い。俺は全てを奪われた。
復讐は本当だよ。金や宝石を奪ったらカレンを縛って船を爆破。そうすれば、逃げた後で助けに来ても船は沈むと言う寸法だ。犯人に辿り着く前に、俺は海外で豪遊という事さ」

 う〜ん、悪いとは一言も言ってないのだが。
参ったな。
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