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文字数 818文字

 現場で美人に会う事はまず無いので、面食らったのだ。

「チョコレートに爆弾が?」

 と、どうやら引き下がる気がない様なので。
俺はスタッフリーダーと共にダンボールをいくつか下ろすと、1番下の箱を開けだした。
 すると、真上の何個かはチョコレートだったが。大きな板が敷いてあって、金属の箱が下から現れた。間違いなく爆弾だった。

「フーッ」
 
と溜め息をつくと、俺は、

「見つけた、う~ん、100キロと言ったところか。船を木っ端微塵には出来ないが、船倉に大穴があくだろう。船を沈めるには丁度良いってとこか・・・」

と山村に連絡した。
 後からカレンさんが、箱を覗き込んだ。
まったく金持ちは、何に対しても動じないものだ。俺は、

「犯人に心当たりでも?」

と聞いてみた。すると、

「主人です、元・・・」

と悲しげに言った。

「旦那さん?」

「そうです。今は離婚してますが。この船に乗ってます」
 
「旦那は爆弾作りのプロ?又は機械工作が好きとか、知り合いにテロリストがいるとか?」

と質問をしながら、俺は箱の上板を外し中身を見た。回路とデジタル時計。表示は10・7となっていた。下はプラスチック爆弾の塊の様だった。どうやら時限装置は無いようだが。
 本職なら、それもフェイクなのだが。

「知りません、唯、船には詳しいです。
この船の船長ですから」

と言った。俺はグッと唾を飲み込んだ。
そして、

「山村、船長、側にいるか?」

と聞くと。
 
「追い出したからいない。操縦の為に、副船長がいるだけだ」

と言った。
 参ったなこりゃ。爆破スイッチ持ってるぞ。速度制限がフェイクだ。
 俺は立ち上がると、スタッフリーダーに、
料理人残ってるか?と聞いた。すると、

「スタッフは最後に脱出するので、まだいます。お客様を安心させる為に、サービスを行なっている筈です」

と答えた。俺は鍋とコンロを持ってきてくれと言った。

「何に使うのです?」

との質問に、

「うん?チョコレートフォンデューが、食べたくてな」

と惚けた返事をした。
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