（二）―５

　組織犯罪対策本部の専従捜査員からの報告では、この本庄組は組長が逮捕された直後から分裂状態にあるという。古参の幹部などの結束は強いが、若いチンピラ数名が組に反旗を翻したという。その主要人物は、主に三人で活動しており、ここ一年間で未遂を含め、暴行、恐喝、殺人、発砲などを繰り返していた。それもその相手は自分が所属していた組の幹だけでなく、警官などにも及んだ。
　その主要人物というのが、最近指名手配された近田徳雄という男だった。近田は、中学生の頃から学校にはほとんど通わず、暴力団の事務所に出入りし、様々な仕事を手伝っていた筋金入りの悪だった。繁華街のぼったくりバーで用心棒をしていたこともあり、一ヶ月で二〇人もの客へ暴行を行ったこともあった。

（続く）