(二)―13

文字数 297文字

「近田。お前、おつとめを果たしてこい」
 横尾がゆっくりと言った。
 近田はテーブルの上の皿やグラス、ボトルなどを腕でなぎ払い、「ふざけんな!」と叫んだ。ガラスや皿が割れる音と、女の子の軽い悲鳴が短く店内に響いた。
 近田の乱暴な行為には眉一つ動かさず、梶田は「それと高木、お前は俺のところへ来い」と言った。
「揃いも揃ってなめたこと言ってんじゃねーぞ!」
 近田は大声を上げて、腰のベルトに挿してあった自動拳銃を取り出して横尾に向けた。
 その動きを見てすぐにボディーガードが動こうとしたが、その二人に対して戸手と高木が、それぞれ近田が手にしているのと同じ自動拳銃を向けていたため、動けなかった。

(続く)
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