ファンシーショップふぶき・6
文字数 3,439文字
街は
どっぷりクリスマスムードに浸かっております。クリスマスをディップされた温野菜みたいです。
日本人らしいですよね。クリスマス祝ってる半数以上が仏教徒ですよ?祝える時に何かとりあえず祝っとけ!みたいな寛容さ、好きです。
『恋人達のクリスマス』がラーメン屋台から流れて来たり、土佐犬のしめ縄がクリスマスカラーだったり、寺にツリーが飾ってあったり、ジョン課長が鹿だったり…
…鹿?
あれ?何故でしょう。トナカイの筈なのに、想像した以上に鹿感が拭えませんが…
私の第一段企画、順調に事は進みまして、今日が調査開始日になりました。
ジョン課長の提案通り、私はテンプレートなサンタの格好で、ジョン課長はトナカイを担当する事になりましたよ。
さあ、練りに練った調査企画…
始めようではありませんか!
〜☆〜
小学校低学年が下校する時間帯、ランドセルを背負った子供達がワイワイキャッキャ言いながら帰宅しておりますね。
最初は私のコミュニケーション能力障害を鑑みて、若干人気の少ない通りで一対一で軽く慣らし、徐々に大通りなどにも向う段取りです。
シミュレーションしてみましょう。
私、帰宅キッズとすれ違い様にすかさず「サンタさんが居るのか、居ないのか、どっちなんだい!」と畳みかけ、動転した年端もいかないピュアな心の本心を聞き出す。
いかにマセガキだろうとも、咄嗟の事となれば理屈より本音が先に出て来るはず。
完璧。
これはもう完璧。
至高。
少年は一人、集団下校の輪を離れ、こちらに向かって来ます。
すれ違う…
今だ‼︎
少年は給食の時に余ったからと言って、ブルーベリージャムの小袋をくれました。
…
気をとり直しまして。
セカンドターゲット…
…
こうして、私とジョン課長は(主に課長が)『サンタさん居るの?居ないの?どっちなの調査』をこなしておりました。
私も段々慣れてきて、『居る』『居ない』の回答にちゃんとした説明をしてくれる子まで出て中々いい感じ。
夕方になる頃には粗方目標数の回答を取れて来ました。