REAL

文字数 462文字

 搬送された子供の中には、保護者でさえ見舞いに来ない者も居た。自宅から搬送された子供の住所ならば分かる。しかし、そうではない場所で、身分を証明するものを持たない子供。そう言った子供は、意識を取り戻すまで、名前すら明らかにはならなかった。
 例え保護者の連絡先が分かったとしても、仕事中では対応出来ない場合がある。仕事内容によっては、電話に出られないこともあるからだ。とは言え、何日連絡を取ろうとしても反応が無い。その上、自宅を訪れても人の気配すらない。そう言った事例が、様々な自治体で報告される様になった。
 時が経ち、その事例の幾らかには、捜索願が出された。しかし、どの事例も足取りすら掴めず、スマホのGPS機能はオフになっていた。最寄りの基地局は調べが付いたとしても、それは失踪が明らかになった前の記録でしかなかった。
 調べていく内に、新たに不思議なことが分かった。救急車を呼んだのは子供の保護者が持つスマホ、その番号からだった。しかし、その通報がなされた前から、スマホの通信が途切れていた。それも、十分以上は前に。
ワンクリックで応援できます。
(ログインが必要です)

登場人物紹介

登場人物はありません

ビューワー設定

文字サイズ
  • 特大
背景色
  • 生成り
  • 水色
フォント
  • 明朝
  • ゴシック
組み方向
  • 横組み
  • 縦組み