ＳＵＲＶＩＶＡＬ

　青と緑の色が混ざった空間の中で、大人達は動かなかった。頭上で旋回する生き物を虚ろに眺め、他の誰かが行動を起こすのを待っている。しかし、誰もが誰もそうであった為、長い間その空間で大きな変化は無かった。
　ある者は、震える手をポケットに入れた。だが、そこを幾ら探っても目的の物は見つからず、ポケットに手を入れたままの姿から動かない。
「貴方方は、貴方方が何よりも優先した！　その中に！　だから、貴方方は貴方方だけで！　貴方方は貴方方だけ！」
　謎の生き物は、そう叫ぶと、より高い位置で旋回を始めた。
「survival！　survival！　検索も文字での質問も出来ない中でのsurvival！　さあ、誰が生き残って、現実に戻れる？　誰なら生き残る能力を持つ？　survival！　survival！　survival！　survival！」
　謎の生き物は、疲れることを知らないのか、その内容を繰り返し叫んだ。時に低く、時に高く。誰が聞き、誰が内容を理解したかを確認する様子も見せずに叫んだ。