SURVIVAL6

文字数 427文字

 床上を移動する雲は、それぞれ逃げた大人達の方へ向かって行った。その雲の大きさは様々で、時に形を変えながらスピードを増していく。
 何時しか、雲は大人達が気付く位置まで到達し、大きさを増しながら近付いていった。大人達は、叫びながら雲から逃げ、中には足のもつれから転ぶ者も居た。
 雲は逃げきれなかった大人を次々に飲み込み、その末期の声はがらんどうの空間に響き渡った。その声は辛うじて逃げた大人達の恐怖を煽り、更なるパニック状態を引き起こす。
「いやだ!」
「誰か助けて!」
「死にたくない!」
「ここから出して!」
 叫びながら逃げる大人達だったが、叫んだ直後に雲に飲み込まれてしまった。雲が飲み込む速度はたいしたもので、被食者達は断末魔すらあげられない。
 そんな中、羽根を持つ生物は、諦めた様子で言葉を漏らす。
「君達こそが、そのクルシイ訴えを無視したんダヨ? 自分ならキいてもらえると、何故思えたの?」
 謎の生物は、そう呟くと長い息を吐いた。
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