第10話言葉が無くても

文字数 642文字

恵世が倒れた為、すぐに救急車を呼び治療を受けさせた。

秋も疲労とストレスが限界で病院内で倒れそうになり、駆けつけた恵世の父に助けられた。

 


(医者A)脳卒中を起こしていましたが、体の麻痺はありません。ただ、

ウェルニッケ失語と言って言葉を聞いても理解が出来ない状態で・・ご本人は若いし、

非常にもどかしく辛いでしょう・・・。


あいつはエンパス体質というか、人の気持ちを察する能力があるから、

多少言葉が通じなくても何とかしてくれますよ。

2週間後、一般病棟に移り面会が許された。
ごめんなさい‼私のせいで・・・私のせいでこんな目に・・・

私が原さんを好きになったせいで・・・・私なんかが・・・っぐす

・・・・。
さっき看護師さんが「原さんて外の雀とか、猫のイラスト見てアキ、アキって言ってて、

小さくて可愛いものはアキなのね。好きな女の子の名前かしら?」って言ってたよ。

恵世は実は大和田さんが好きだったんだな。

それに、わしの霊障が無くなったんだよ。

きっと今回のことで悪霊も諦めたんだろうな。

恵世が紙に猫の絵を描いて秋に渡す。
うっ・・・・ぐすっ・・・・(号泣)
私、絶対あなたに恩返ししたい‼

何が何でも、絶対‼

だからずっと傍にいさせて・・・

<1年後>恵世はリハビリのお陰で、少しずつ改善されてきた。

単純作業の仕事なら全く問題はなく、普通の生活を取り戻しつつあった。


失った物も多いが、恵世は幸せだった。

元々人の気持ちを察するのは得意であったし、彼の伴侶も感が鋭く、

言葉が無くても分かり合えたからだ。     終わり

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登場人物紹介

原桜香(はらおうか)

原心療内科の院長。 霊感はあるが、払うことが出来ないので自分に憑かせている。

原恵世(はらえよ)

院長の息子。占いで共感能力が高いと言われている。普通の社会人

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