第60話

文字数 1,413文字

 僕と悠木は無事に、同じ大学に入り、新しい環境でキャンパスライフを楽しんでいた。

 高校を卒業したら、仏心で新しいギルドを作るという目標があった。

 その前に、1つの思い出話をしよう。

 キメラアントの巣を攻略した高校卒業間近の話だ。

 HAKUAI「SKYくん! そっちに行ったよ!」

 SKY「任せて、HAKUAIちゃん!」

「ファイアーストーム!」

 その瞬間、階層を守っていたキメラアント数匹は燃焼魔法を受け、消えていった。

 YUUKI「まだ五階だけど、流石だなあ。SKY……HAKUAIちゃんの前だと気合い入るんだから」

 KANADE「え、え!? そうだったの!? SKYくん」

 SKY「い、いや、そんなことは……YUUKI。からかうのは辞めてくれよう」

 HAKUAI「そ、そうだよ。我が妹が誤解したらどうするのさ」

 YUUKIは黙って、剣を振り回している。……全く、こいつときたら。

 SIZUK「さあ、次の階層へ行くよ!」

 Dan「おっけー」

 TIBI「了解です」

 キメラアントの巣、六階の攻略に向けて僕らは奥へと進んだ。

 五階の奥で、階段で立ち塞がるのは黄金のキメラアント。この階を守る中ボスらしい。

 YUUKI「また凄いのが来たなあ」

 僕は詠唱を開始する。

「炎の魔道士マリスよ、その力を具現せよ」

「プリズン魔法、無限牢獄!」

 その瞬間、黄金のキメラアントの四方に牢獄が建ち並ぶ。閉じ込められたその蟻は、悲鳴を上げる隙もなく、封じられてしまった。

 KANADE「SKYくんのプリズン魔法。凄い威力だよね……アークメイジってやっぱり最強だね! もうサーバー最強も目の前なんじゃないのかな」

 SKY「うん、対人戦ならもう負けなしだね」

 YUUKI「見直したぜ、SKY!」

 SKY「ありがとう、ここまで来られたのもみんなのお陰さ。とても感謝しているよ」

 僕はリアルで照れていたのを、ネットでも伝えようとリモートアクションで、キャラクターの顔を赤くさせる。

 KANADE「SKYくん、可愛い!」

 TIBI「……ラブラブっすな」

 Dan「うん、もう見てられないよ」

 SIZUK「あーあ、私も恋人が欲しくなって来ちゃったよ」

 YUUKI「俺でよければ隣が空いているけど?」

 SIZUK「論外」

 YUUKI「ひどすぎ!」

 僕はその光景をスマホを通して楽しんでいた。リアルで同じことを言ったらどうなっていたのだろうと、そんな妄想が頭をよぎる。

 SKY「ま、まあ先は長いから今日はこの辺で。明日また続きをしよう」

 一同「はーい!」

 僕の魔法だけでは限界がある。どうにかして、キメラアントの巣を攻略する為に、たくさんの同志が必要だ。調査に来ていた僕らは、巣の外へと出た。

 SKY「地下十階まで僕らだけで何とか突破して、あとはギルドの力に頼るというのはどうだろうか?」

 YUUKI「いいね、それに賛成。ところで本気で地下最深部まで行くつもりなのか?」

 SKY「ああ、どうしてもその奥に何があるのかを知りたいんだ。まだ誰も到達したことのないエリアだからね」

 YUUKI「ふむ、まあ大学受験も終わったし、俺は最後まで付き合うよ。SKY! じゃあまた明日な」

 僕らはハイタッチをして別れた。

 メンバーのみんなとはうまくやれている。僕は決めていた。この巣をクリアをしたら大学で、新しいギルドを作って、みんなを誘うのだと。

 僕は新しい目標に胸を躍らせていた。
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