2022年2月7日

文字数 4,259文字

自宅療養日記
Saven Satow
Feb. 22, 2022

"COVID-19 transforms me into Gregor Samsa".

2022年2月7日
 風流三昧なのに、朝から左眼に痛みがある。眼の使いすぎとも思えない。毎年春先になると痛むことがある。きっとそれだろう。春が近づいていると、身体が教えてくれているのかもしれない。

 土曜日からのどの痛みが続くので、月曜日は休みでもあるし、美紀がPCR検査を受ける。風邪だろうと思うけれども、保育園で同じクラスの保育士が感染して、閉鎖になっている。万が一のこともある。はっきりさせずに通園して誰かに感染させてしまっては申し訳ない。

 9時を待って東京都発熱相談センターに美紀が電話し、近所で対応している病院を教えてもらう。しかし、その病院はことごとく予約がいっぱいで、検査は明日以降と告げられる。やむを得ないので、最も近いクリニックに明日の予約を入れる。住所はマンションから徒歩1分のところだ。

 10時前にそのクリニックから電話があり、本来診察後に検査だが、保育園で働いている事情を考慮して、その逆でかまわないと院長の説明を受ける。11時半に検査キットが回収されるので、必要なものを渡すから急いで取りに来て欲しいとのことだ。こういう臨機応変さ
はありがたい。

 クリニックの前で、美紀によれば、偶然、杏子さんと会って話かけられたと言う。しかし、さすがに会話をするわけにもいかず、今日はちょっとダメと断ったとのことだ。。気を悪くしないように、後からメールで事情を説明しないといけない。

 検査キットは唾液のタイプである。スポイトでGumの歯間ブラシ程度の大きさの容器に唾液を入れる。しかし、うまくいかないので、美紀は直接口から流し込んでいる。

 検査キットと必要書類を持参してクリニックに戻ったが、さっきと違い、30分くらい経って帰ってくる。診察も受けてきたと言う。クリニックの外でキットなどの受け渡しや診療費の支払いを行い、診察の時だけ中に入ったとのことだ。診察室は完全防備の無菌カプセルだったと印象を語り、検査結果は、混んでいるので、水曜日になると説明されたそうだ。

 帰宅後、美紀が杏子さんにメールを送る。すかさず返信がくる。お互い様だから、何かあったら遠慮なく言ってとありがたい言葉が記されている。わが弟は本当にいい女性と結婚したと兄妹2人でうなずく。

 11時半頃に、無症状なので、荻窪西友に食料品を1人で買いに行く。もし美紀が陽性なら、行動が制限される。買い溜めをしておく必要がある。無症状だからと言って、ユーフォリア、すなわち無根拠な楽観性ではいけない。できる限り口を開かず、滞在時間も短くする。

 『NHK』の2022年2月7日 18時36分更新「オミクロン株の「BA.2」ゲノム解析で従来株と異なる変異箇所」によると、また新たな変異株の感染が広がりつつある。新型コロナウイルスはRNA型ウイルスである。RNAはDNAに比べて複製の精度が悪い。コピーエラーが発生しやすく、それが進化論的に変異株を生じさせる。感染が拡大することは複製が大量に行われることを意味する。エラーも多い以上、従来の対策から免れる変異も出現する可能性も大きい。新型コロナウイルスは進化論の正しさを証明している。変異が生まれないようにするには感染の拡大を許さないことが肝要だ。

 また、『NHK』は、2022年2月7日 5時15分 更新「新ウイルスは重い症状で流行繰り返すか 数理モデルで分析」において、そうした新型コロナウイルスの変化=変異について次のような研究を伝えている。

新型コロナウイルスのような新たに出てきたウイルスがどう進化していくか、総合研究大学院大学などのグループが数理モデルと呼ばれる手法で分析したところ、しばらくの間は重い症状を引き起こすウイルスが流行するおそれがあるとする試算結果を発表しました。
この試算は総合研究大学院大学の佐々木顕教授らのグループが行いました。
グループでは、ウイルスの変異やヒトの免疫の状態などを数式で分析する数理モデルと呼ばれる手法を使い新たに登場したウイルスがどう進化するかを試算しました。
ウイルスは、ヒトが免疫を獲得すると押さえ込まれますが、その後、変異を繰り返して免疫をすり抜けるようになります。
今回の試算では、この際、短期間で大量に増殖するウイルスの方が変異が起こりやすく、免疫から逃れて感染を広げるのに有利になるという結果になったということです。
ウイルスの増殖力が高まると症状が重くなるとされることからグループでは、新型コロナのように新しいウイルスでは、重い症状を引き起こす変異ウイルスがしばらくの間、流行を繰り返すおそれがあるとしています。
佐々木教授は「免疫から逃げ続けてまだ根絶されていない感染症は数多くある。新型コロナウイルスもそうなると考えていろいろな対策をしていく必要があると思う」と話していました。

 オミクロン株は重症化リスクが低いとされる。重症化する確率が低いことは感染者がすべからく症状が軽く済むという意味ではない。一定比率の感染者は重症化するということだ。感染者数が多くなれば、その確率に基づき、重症者数も増える。おみくろん株を軽く見ると、感染拡大を許すので、重症者や死亡者も多くなる。

 症状が軽いのだから、オミクロン株を感染症法上の5類相当にすべきだという意見には賛同しかねる。症状自体が軽くても、深刻な後遺症がある感染症もある。代表がポリオである。大人にもあるが、特に5歳以下の子どもが感染しやすい。ポリオは感染しても90〜95%は無症状で、4〜8%は風邪のような胃腸・呼吸器症状がある。しかし、不顕性感染する。低い確率ながら、腸管に入ったウイルスが脊髄の一部に侵入、主に手や足に非対称性の弛緩性麻痺が現れ、後遺症として一生残る。これがあるため、ポリオは深刻な感染症と見なされている。

 かりに後遺症の発生率が低くても、感染者数が大勢であれば、後遺症に苦しむ人も多くなる。感染力のある疾病を軽く見るべきではない。

 『読売新聞』は、2022年1月23日20時05分更新「オミクロン株、国内外で子どもの感染者急増…重症化は少ないが後遺症に注意」において、次のように警告している。

 新型コロナウイルスの変異株「オミクロン株」は、国内外で子どもの感染者の急増が報告されている。重症化は少ないとされるが、専門家は「軽視は禁物」と注意を促している。
 米小児科学会の7~13日の集計によると、全米各州で14~20歳を上限とする若年感染者数は約98万人で、前週より69%増えた。
 英国では今月上旬に5歳以下の新規入院者が1日30人台になり、昨年末の約3倍に増えている。東京都の10代以下の新規感染者は23日は2296人で、今月1日の8人に比べ287倍となった。全世代の増加に比べても2倍のペースだ。
 東大などの調べによると、オミクロン株は感染力がデルタ株の3~5倍と強いとされる。米国では5~11歳のワクチン接種率は今月上旬時点で15%程度で、子どもに感染が広がる原因のひとつとの見方が出ている。日本では5~11歳のワクチン接種は3月から始まる予定で、まだ免疫がない子どもが多いとみられる。
 オミクロン株は、子どもも重症者が少ないようだ。デルタ株に比べて鼻やのどなどで増えやすく、肺で増えにくいことが、動物実験などで示されている。米大学などの報告によると、オミクロン株の感染から3日以内に集中治療室に入るなどした5歳以下の人数はデルタ株の約3割だった。
 肺炎が少ないとしても、子どもの症状の変化には要注意だ。米フィラデルフィア小児病院の医師は英科学誌ネイチャーで、「子どもは大人に比べて 鼻腔びくう が小さく、赤ちゃんは鼻で呼吸するため、鼻などの症状が重くなる可能性がある」と指摘した。
 欧米では新型コロナ感染の2~6週間後、まれに川崎病に似た重い症状の子どもが報告されているが、オミクロン株での頻度はわかっていない。二木芳人・昭和大客員教授(感染症学)は「子どもの感染者が増えると、後遺症も増える可能性がある。侮ってはいけない」と警告する。

 ウイルスは増殖すること、自身の遺伝子をより多く残すことを目指す。それには致死率が低く、感染力が強い方が望ましい。重症化すれば、移動が困難になり、他者と接触する機会が減るため、ウイルスは拡散しにくくなる。活動量が大きい若年層では無症状や軽症の方が望ましい。また、幼い子どもは他者と身体接触する機会が多い。ウイルスには感染の可能性がより高いのだから、同様に重症化しない方が効果的である。人間の生活習慣に適応しているために、新型コロナウイルスがパンデミックにつながったと言える。

 こういう時はいつもより食事量が必要だ。夕食はサムゲタン、他人丼、野菜サラダ、韓国風冷奴、じゃがいもの生姜醤油和え、食後は緑茶、パール柑をとる。ウォーキングは10266歩を達成する。都内の新規陽性者数は12211人である。もはやいつこの1人になっても不思議ではない。

参照文献
田城孝雄他、『感染症と生体防御』、放送大学教育振興会、2018年
「オミクロン株、国内外で子どもの感染者急増…重症化は少ないが後遺症に注意」、『読売新聞』、2022年1月23日20時05分更新
https://www.yomiuri.co.jp/national/20220123-OYT1T50086/
「新ウイルスは重い症状で流行繰り返すか 数理モデルで分析」、『NHK』、2022年2月7日 5時15分 更新
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20220207/k10013470401000.html?fbclid=IwAR1fHk95UO9sv4gQh1HNB22AFgo79_JhRxeoO-Q-gfYYNE3bxgmxUlK9JIk
「オミクロン株の「BA.2」ゲノム解析で従来株と異なる変異箇所」、『NHK』、2022年2月7日 18時36分更新
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20220207/k10013471931000.html?fbclid=IwAR1YUR5wFuFrSMo9vd984ZmQmmY805vAEyTVfR1ZeOkI1rQfQaJyXcmde3s

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