(二)-6

文字数 219文字

 そうして修一と美幸が箸を取ろうとしていた折に、再び玄関チャイムが鳴った。
「またお客さんか」
 修一がそう言い終わる前に、幸恵は立ち上がって部屋を出て行った。
「だから、そういうなら……」
「別に出たいわけじゃ……」
 修一は悪い歯切れで答えた。
 その後、皆、小皿に醤油を入れて寿司を楽しみ始めた。
 するとすぐに幸恵が戻ってきた。左右の手はそれぞれ茶色の一升瓶の首を掴んでいた。その瓶の腹には、『鯨馬』という日本酒のラベルが貼られていた。

(続く)
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