(二)-17

文字数 254文字

 そう言う既に中年を過ぎた兄妹に対して、幸恵は「初めてならちゃんとご挨拶しなさい」と穏やかに叱りつけた。
「そうですよね。いきなり押しかけてすみません。あ、これ、受賞祝いです」
 源さんは缶ビールの入った段ボール箱を床に下ろした。
「私、池上源太といって、近所に住む者です。招来軒に出前を頼むことが多いんですけど、招来軒の電話番号と先生のお宅の電話番号が一つ違いで、いつも間違えてしまうんですよね。いやぁ、いつもご迷惑をおかけしています」
「さぁさぁ、どうぞおかけになって。お寿司召し上がっていって下さいな」

(続く)
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