(三)-4
文字数 230文字
「おおー」
一堂が驚嘆の声を上げた。
「今年もこれが食べられるのか」
そう言って、エビチリを凝視しつつ、皿にかけられたラップをはがしていった。
「私、ここのエビチリ、好き」
「今年も受賞を逃せば来年も食べられるな」
そううっかり口を滑らせた修一は、両親から自立してからすでに三十年近く経っているにもかかわらず「そういうこと言わないの!」と母親から叱られた。
普段はあまり食べられないものを食べることで、一堂は修一と同様気が緩んだのか、母と修一以外は皆笑った。
(続く)
ワンクリックで応援できます。
(ログインが必要です)